ART
日本の菊をアートにしたオトニエルの個展へ。
『カーサ ブルータス』2020年10月号より
| Art | a wall newspaper | text_Naoko Aono
日本の自然との向き合い方に興味を持つオトニエル。最新の個展では、菊の意外な美を発見できます。
〈ペロタン東京〉で、菊をモチーフにした個展『《夢路》DREAM ROAD』を開催中のフランスのアーティスト、ジャン=ミシェル・オトニエル。日本は何度も訪れている特別なところだという彼に聞いた。
Q 「夢路」というタイトルに込めた思いは?
これは白い菊の品種名で、『古今和歌集』などでは「夢を見る」「夢で愛する人と逢う」ことを表す。僕がアートを制作している背景には、見る人に幸福な気持ちを感じてもらいたいという思いがある。「夢路」という言葉は1年前に決めたものだけれど、今の状況を考えるとさらなる意味が付け加えられたような気もするね。
Q 今回のモチーフになった菊は日本では長寿のシンボルです。
花には文化によってさまざまな意味が込められていて、フランスでは愛の象徴としてバラがよく詩や小説に登場する。だからルーヴル美術館にはバラをモチーフにした作品を設置したんだ。
Q 近年ではガラスを使うことが多いですね。
ガラスは永久的な素材だけれど、すぐに割れてしまうもろさもある。扱いに注意が必要だから緊張感が生まれる。僕の作品ではこれに限らず、観客が映り込むことで取り込まれて、その一部になるような感覚が味わえる作品もある。
Q 「夢路」というタイトルに込めた思いは?
これは白い菊の品種名で、『古今和歌集』などでは「夢を見る」「夢で愛する人と逢う」ことを表す。僕がアートを制作している背景には、見る人に幸福な気持ちを感じてもらいたいという思いがある。「夢路」という言葉は1年前に決めたものだけれど、今の状況を考えるとさらなる意味が付け加えられたような気もするね。
Q 今回のモチーフになった菊は日本では長寿のシンボルです。
花には文化によってさまざまな意味が込められていて、フランスでは愛の象徴としてバラがよく詩や小説に登場する。だからルーヴル美術館にはバラをモチーフにした作品を設置したんだ。
Q 近年ではガラスを使うことが多いですね。
ガラスは永久的な素材だけれど、すぐに割れてしまうもろさもある。扱いに注意が必要だから緊張感が生まれる。僕の作品ではこれに限らず、観客が映り込むことで取り込まれて、その一部になるような感覚が味わえる作品もある。
Q 黒インクによるドローイングは日本の書道も連想させます。
動きやエネルギーといったコンセプトを表現している。ただし、日本の書道には起点と終点があるけれどこの作品には終わりがない。無限に続くものなんだ。
Q 今回は作品をグリッド状に並べるそうですが。
以前、日本の菊祭りで菊を格子状に並べているのを見て、とても新鮮に感じた。まるでミニマルアートのようだと思ったんだ。日本ではアートだけでなく、食や住居などでも自然との接点が随所に残っている。自然に対してヨーロッパとは違う独特の見方があって、興味がつきない。庭の作り方でも日本の庭は「見る庭」で、フランスのは「歩く庭」だという気がする。わざと小さな木を植えて、遠近法の錯覚で広く見せる手法なども面白くて、いつまででも見ていられるね。
動きやエネルギーといったコンセプトを表現している。ただし、日本の書道には起点と終点があるけれどこの作品には終わりがない。無限に続くものなんだ。
Q 今回は作品をグリッド状に並べるそうですが。
以前、日本の菊祭りで菊を格子状に並べているのを見て、とても新鮮に感じた。まるでミニマルアートのようだと思ったんだ。日本ではアートだけでなく、食や住居などでも自然との接点が随所に残っている。自然に対してヨーロッパとは違う独特の見方があって、興味がつきない。庭の作り方でも日本の庭は「見る庭」で、フランスのは「歩く庭」だという気がする。わざと小さな木を植えて、遠近法の錯覚で広く見せる手法なども面白くて、いつまででも見ていられるね。
ジャン=ミシェル・オトニエル
1964年フランス出身。初期には硫黄や蝋を、93年からはガラスを用いた作品を制作。日本でも〈毛利庭園〉や〈ハラ ミュージアム アーク〉に恒久設置作品がある。
1964年フランス出身。初期には硫黄や蝋を、93年からはガラスを用いた作品を制作。日本でも〈毛利庭園〉や〈ハラ ミュージアム アーク〉に恒久設置作品がある。
『《夢路》DREAM ROAD』
〈ペロタン東京〉
東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F TEL 03 6721 0687。9月16日〜10月24日。11時〜19時。日曜・月曜休。
