バンクシーがいまなお作品を更新し続けるパレスチナの「核心」エリアを訪ねる。
『カーサ ブルータス』2020年3月号より
| Art, Culture, Travel | Where’s BANKSY? Bethlehem | photo_Keisuke Fukamizu text_Toko Suzuki
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Flower Thrower (2003) 圧倒的な武力を持つイスラエル軍の軍事占領と攻撃に投石で抗議したパレスチナのインティファーダ(抗議運動)をモチーフに、目出し帽を着けた男の手に、石ではなく花束を持たせた代表作。高さ6m以上の巨大な壁画は「武器ではなくアートで現状を変えていく」というバンクシーの姿勢をよく表してる。●Ash Salon St.沿いのガソリンスタンドの壁。

Girl Frisking Soldier(2005) 土産物屋の店内にある作品。バンクシー作品を見学する旅行者が後を絶たないことから、壁を取り込む形で土産物屋がオープン。作品を見学するためには土産物屋に入店する必要があり、入ると商品を勧められる。●Hebron Rd沿いの〈BANKSY SHOP〉という土産物屋内。

Armored Dove of Peace (2005) 平和の象徴であるオリーブの葉をくわえた白い鳩が防弾チョッキを着けて飛んでいるが、その胸には銃が狙いを定めた照準マークがある。今にも撃ち落とされそうな緊張感と平和が脅かされる危機感が漂う。〈ザ・ウォールド・オフ・ホテル〉から歩いて5分程度。●Manger St.にあるPalestinian Heritage Centerの壁。

Conditional “Peace on Earth” (2017) 教会裏口のドアに描かれた作品。「世界に平和を」との文字の下に小さい文字で「ただし利用規約が適用されます」と続く。バンクシーによるものと報道されると牧師はドアごと撤去。現在は地下で保存中で見学は不可。「有名な作家の作品と聞いたので汚されたり盗難されたくなかった」。●Milk Grotto Churchの対面の教会内。

Angels (2017) スカーフで顔を半分隠し鉄梃を使って分離壁をこじ開けようとしている二人の天使。高さ5mのハシゴを使って制作されたこの作品は〈ザ・ウォールド・オフ・ホテル〉の駐車場に面している。この時、バンクシーは地元アーティストらと演劇『キリスト降誕劇』を上演、その様子をダニー・ボイル監督がドキュメンタリー映像として収めている。●The Walled Off Hotelの向かい。