ピカソ《ゲルニカ》をどこまで読み解けるか? 〈ソフィア王妃芸術センター〉でオンライン展が公開中。
| Art | casabrutus.com | text_Tomoko Sakamoto
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「ゲルニカ再考」プロジェクトのタイトルページ。概要ストーリーの他、年表、巡回マップ、ギガピクセル画像が楽しめる。

《ゲルニカ》が閲覧できる普段の館内の様子。実は1992年に〈ソフィア王妃芸術センター〉に置かれる少し前までは、ほど近くに建つ〈プラド美術館〉内に防犯ガラスに囲まれた別館をつくって展示されていたため、さらに見づらかったと思われる。

《ゲルニカ》をめぐる年表。2044点の資料がすべてオンラインで閲覧できる。量は多いがそれぞれの資料は種類によって色分けされ、重要な資料にはハイライトもついているので非常に見やすい。ニューヨーク近代美術館に長年置かれていたこの作品が、ピカソの死後、フランコ独裁政権が終結しさまざまな議論の末にやっとスペインに搬送された1981年に最も多くの資料が残されている。

年表資料のひとつ。完成した《ゲルニカ》が1937年のパリ万博においてスペイン館で公開された時の様子。(c) José Lino Vaamonde Valencia. MNCARS, Madrid. Donación J. Vaamonde Horcada (2001)

《ゲルニカ》全体。3.49×7.77mの巨大な絵画。すべてのモチーフに多くの習作とスケッチが残されており、構図から細部まで考え抜かれて描かれたことが分かっている。

ギガピクセル資料において、牛の目の部分をズームアップしてみたところ。下地や筆の跡まではっきりと分かる。

ギガピクセル資料において、最も拡大するとこのようにキャンバスの繊維まで見える。短期間で描いたため普通の絵の具ではなく速乾性の工業用ペンキを使用したという記録が残っており、黒い部分が少しひび割れて見えるのはそのせいかもしれない。