ART
京都・嵯峨嵐山の〈福田美術館〉で、若冲最初期の作品が初公開。
March 15, 2020 | Art | casabrutus.com | text_Aya Hasegawa
江戸中期の画家、伊藤若冲の展覧会が3月28日より開催。若冲作品約50点が展示される。
動植物の緻密な描写など独特の作風で熱狂的なファンを持つ伊藤若冲(1716-1800)。明治時代から「奇想の画家」としてマニアックな人気を集めていたが、現在のように熱狂的な人気を博すようになったのは21世紀に入ってからだ。そもそもは美術史家・辻惟雄氏(1932~)が1970年に出版した『奇想の系譜』で、歌川国芳、狩野山雪らとともに紹介したことで再評価。2000年に〈京都国立博物館〉で大規模な回顧展『伊藤若冲展』が開催され、この頃から、若冲に注目が集まり始める。2006年夏に〈東京国立博物館〉で開催された、アメリカ人コレクター、ジョー・プライス所蔵のプライスコレクション『若冲と江戸絵画』展では、記録的な入場待ち行列ができた。
その若冲をフィーチャーした展覧会『若冲誕生〜葛藤の向こうがわ〜』が、「100年続く美術館」をコンセプトに、2019年10月にオープンした京都・嵯峨嵐山の〈福田美術館〉にて3月28日からスタート。若冲最初期の彩色画《蕪に双鶏図》が初公開されることで話題を集めている。《蕪に双鶏図》は、関西地方の旧家に残されたもので、〈福田美術館〉が鑑定を依頼され購入。鶏の羽やカブの葉の表現や印章などから若冲の最初期の彩色画とされている。現在知られる若冲画の中では、若冲が「景和」と名乗っていた時期に制作された《雪中雄鶏図》(細見美術館蔵)が最初期のものとされていたが、新発見された《蕪に双鶏図》は、それ以前に制作された可能性が高いという。
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