ART
リー・ウーファン、半世紀の創作に迫る回顧展。
March 23, 2019 | Art | casabrutus.com | text_Chiyo Sagae
〈ポンピドゥーセンター・メス〉にて、日本とフランスに縁の深い韓国生まれの現代アーティスト、李 禹煥(リー・ウーファン)の回顧展「時に住まう」が開催中。
2010年、直島に安藤忠雄設計の〈李禹煥美術館〉が開館して話題を呼び、その後もNY〈グッゲンハイム美術館〉での回顧展、2014年のヴェルサイユ宮殿内外の特異な空間での特別展など、近年ますます国際的に高く評価されるアーティスト、李禹煥。
今回〈ポンピドゥセンター・メス〉では展示を屋内に徹底し、1960年代後半から今日までの絵画、彫刻、デッサン、環境(空間設計)と、様々な手段で作家が思考し続けた50年あまりの創作の軌跡を辿る。
「見るべきものは、あなたの目に見えていないもの」と作家は語り、本展のチーフキュレーターは「そこに身を置かなければ感じられないものを味わってほしい」と言う。最初の展示室は、白い壁に直接描かれた作品「Dialoque/対話」。左方から光を受けた物体が宙に浮かぶように目に映るそれは、”出現” と ”消滅”、境界が極めて曖昧な ”描かれた” 部分と ”描かれない” 部分を同時に表し、展示室の白い壁(=描かれない部分)に囲まれた閲覧者を一挙に作品の内部に取り込む。
日本のアートシーン「もの派」で活躍していた1972年から今日まで同タイトルで制作する「relatum/関係項」は、天然石や綿(自然)と鉄版やガラス(工業材)が対峙するシンプルで力強い空間作品群。他にも、簡潔な線や点、色使いで空間と時の表現を追求してきた絵画、デッサンなど、半生を通じて作家が取り組んできたミニマムにして壮大な作品世界を肌で感じたい。金属やガラスほか、数々の素材を元に坂本龍一が手がけた会場の音響も李 禹煥の世界を多次元に膨らませる。
今回〈ポンピドゥセンター・メス〉では展示を屋内に徹底し、1960年代後半から今日までの絵画、彫刻、デッサン、環境(空間設計)と、様々な手段で作家が思考し続けた50年あまりの創作の軌跡を辿る。
「見るべきものは、あなたの目に見えていないもの」と作家は語り、本展のチーフキュレーターは「そこに身を置かなければ感じられないものを味わってほしい」と言う。最初の展示室は、白い壁に直接描かれた作品「Dialoque/対話」。左方から光を受けた物体が宙に浮かぶように目に映るそれは、”出現” と ”消滅”、境界が極めて曖昧な ”描かれた” 部分と ”描かれない” 部分を同時に表し、展示室の白い壁(=描かれない部分)に囲まれた閲覧者を一挙に作品の内部に取り込む。
日本のアートシーン「もの派」で活躍していた1972年から今日まで同タイトルで制作する「relatum/関係項」は、天然石や綿(自然)と鉄版やガラス(工業材)が対峙するシンプルで力強い空間作品群。他にも、簡潔な線や点、色使いで空間と時の表現を追求してきた絵画、デッサンなど、半生を通じて作家が取り組んできたミニマムにして壮大な作品世界を肌で感じたい。金属やガラスほか、数々の素材を元に坂本龍一が手がけた会場の音響も李 禹煥の世界を多次元に膨らませる。
『李 禹煥 時に住まう 展』
〈ポンピドゥーセンター・メス〉
1, parvis des Droits-de-l’Homme 57020 Metz。~9月30日。10時~18時(4月1日~:金・土・日~19時)。火曜・5月1日休み。入館料:7ユーロ~。