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ARCHITECTURE

アイリーン・グレイ設計の幻の住宅がついに一般公開されます!

| Architecture, Travel | a wall newspaper | text_Kanae Hasegawa   Villa E-1027 - Living room with furniture and rugs designed by Eileen Gray and Le Corbusier’s mural. © Manuel Bougot - FLC/ADAGP, Paris 2015.

アイリーン・グレイ設計の幻の傑作住宅〈E.1027〉。長らく修復工事が続けられていましたが、期間限定で奇跡の一般公開が始まりました。

港に停泊する客船をイメージした外観にグレイの遊び心を感じる。
港に停泊する客船をイメージした外観にグレイの遊び心を感じる。
幻の住宅とはアイリーン・グレイが1929年、南仏、ロクブリュンヌ・カップ・マルタンに建てた〈E.1027〉のこと。ル・コルビュジエが打ち出した「近代建築の5原則」を見事に形にしながらも、恋人のジャン・バドヴィッチと過ごすための暮らしやすさを第一に考えた住まいだった。
ピロティの上に建つメインの居住空間。88平方メートルの空間は一日を通して刻々と変化する光が差し込み、移り変わる風景画の中に身を置いているかのよう。約80年以上前、グレイが求めた暮らしがよみがえってきそう。
ピロティの上に建つメインの居住空間。88平方メートルの空間は一日を通して刻々と変化する光が差し込み、移り変わる風景画の中に身を置いているかのよう。約80年以上前、グレイが求めた暮らしがよみがえってきそう。
完成した〈E.1027〉はフランスの建築雑誌で特集されると建築界の話題をさらい、グレイは一躍時の人となる。しかし、彼女がこの家で暮らしたのはわずか2年。新たな恋人ができると家はバドヴィッチに残して、去ってしまった。その後、バドヴィッチの客人として訪れたル・コルビュジエがあまりの居心地のよさに入り浸り、“刻印”のように壁画を残してしまったから、この海辺の家はコルビュジエ作品として数えられることさえもあり、〈E.1027〉は歴史から消えかけるという憂き目を見る。
すぐ背後にはル・コルビュジエ設計の休暇小屋。一帯が〈カップ・モデルン〉として見学可。
すぐ背後にはル・コルビュジエ設計の休暇小屋。一帯が〈カップ・モデルン〉として見学可。
幸いにも海岸沿いの景観を保護する政府機関が“幻の住宅”を買い取り、2007年から修復作業がスタート。14年には、目と鼻の先に建つル・コルビュジエの休暇小屋〈キャバノン〉と宿泊施設〈ユニテ・ド・キャンピング〉と合わせて敷地全体を〈カップ・モデルン〉と呼び、歴史的近代建築群として伝承していく動きが始まった。そして、修復途中の〈E.10‌27〉の一般公開がこの6月から10月末までの期間限定で実現! その後は再び修復のため非公開となるため、この機会を逃さないで。

公式サイト
Eileen Gray (1878-1976)

Eileen Gray (1878-1976)

アイリーン・グレイ 1878年アイルランド生まれのデザイナー、建築家。ロンドンで漆の技術を、パリで家具作りを学ぶ。1920年代から抑制の効いたデザインで、女性デザイナーの先駆けとして活躍。〈E.1027〉からはベッドで食事をとるために作られた《アジャスタブル・テーブル》など数々の名作家具も生まれた。

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