ARCHITECTURE
ボンジュール! ANDOさん光の教会とポンピドゥーへ。
『カーサ ブルータス』2018年12月号より
November 13, 2018 | Architecture, Travel | On Your Fridge | photo_Shiro Muramatsu text_Megumi Yamashita
パリで開催中の『安藤忠雄―挑戦』内覧会に侵入。ANDOのライブアクションに、パリっ子も大興奮。
パリ、ポンピドゥーセンター。この日は『安藤忠雄−挑戦』の内覧会である。講演会に続いてサイン会を終え、安藤忠雄は走るように会場に現れた。会場の入口には大きな青リンゴの模型。その下に「青春」と書かれている。
「私は5つの臓器を全摘しても挑戦を続けています。何歳になっても青春を生きたいと考えています」。安藤は両手にマジックペンを握り、壁などのスペースに次々と絵を描きながら、作品の説明を加えていく。その様子をカメラやスマホで撮影する人々。歴史の重要な一コマを目撃している、という高揚感で会場は熱気に包まれる。
今回の展覧会は東京の国立新美術館での展示を元に、副館長のフレデリック・ミゲルーがキュレーションを担当。図面や模型などをさらに盛り込み、より専門家にもアピールする内容になっている。ミゲルーによるインタビュー映像もハイライトだ。旅をして心で感じながら建築を学んできたこと、ル・コルビュジエの影響、光と建築の関係や自然との共存性、さらに建築を目指す若者への声援など、その言葉は ズーンと心に響く。
また、この展覧会は会場近くに来年オープンする〈ブルス・ド・コメルス〉への序章という面もある。元穀物取引所だったドーム型の歴史ある建物にコンクリートのシリンダーを挿入し、美術館として再生するプロジェクトだ。「歴史に包まれながら、どこまでそれを跳ね返すか、そのギリギリのバランスが芸術であり、建築の醍醐味なのです」
歴史ある街並みにエッフェル塔、ポンピドゥーセンターなど、ラディカルな建築を包み込んできたパリ。建築家を目指し、ル・コルビュジエに会いたいと、若き安藤が初の海外渡航でたどり着いた地でもある。半世紀以上経っても、青リンゴの気持ちで挑戦を続ける安藤。この展覧会はその集大成というより通過点なのだと印象づけた。
歴史ある街並みにエッフェル塔、ポンピドゥーセンターなど、ラディカルな建築を包み込んできたパリ。建築家を目指し、ル・コルビュジエに会いたいと、若き安藤が初の海外渡航でたどり着いた地でもある。半世紀以上経っても、青リンゴの気持ちで挑戦を続ける安藤。この展覧会はその集大成というより通過点なのだと印象づけた。
『安藤忠雄—挑戦』展 日仏友好160周年を記念する『ジャポニスム2018』の一環として開催中。〈Centre Pompidou〉Place Georges Pompidou, 75004 Paris TEL (33)1 44 78 12 33。〜12月31日。11時〜21時。火曜休。入場料14ユーロ。
安藤忠雄
1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年に安藤忠雄建築研究所設立。打ち放しのコンクリートを使った独自の作風で、時代を代表する世界的な建築家の地位を築く。プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞など各賞受賞。