ARCHITECTURE
吉田実香のNY通信|全米最大スケールの個人美術館〈グレンストーン〉がワシントンDC郊外にオープンしました。
October 19, 2018 | Architecture, Art, Travel | casabrutus.com | photo_ Iwan Baan Courtesy of Thomas Phifer & Partners text_ Mika Yoshida & David G. Imber
代々木公園の実に2倍近くという広大な敷地に、トーマス・ファイファー設計のパビリオン。1,300点のアートを所有するコレクターが開いた〈グレンストーン〉を訪れました。
NYから車で3~4時間、ワシントンDCからは渋滞がなければ45分ほど。メリーランド州ポトマックへの郊外まで、はるばる足を運ばせるのが〈グレンストーン〉だ。世界屈指の現代美術コレクター、ミッチェル・レイルズが、私蔵アートコレクションを展示する美術館を開いたのは2006年のこと。当初はチャールズ・グワスミーが設計した本館のみだったが、5年に及ぶ大規模な増築工事を経て、このたび大きく生まれ変わった。アートコレクターが開いた個人美術館として、全米で最大規模を誇るとされている。
敷地面積230エーカーというから東京ドーム20個分、代々木公園の2倍近くの広さにあたる。〈グレンストーン〉でまず目に入る建物は、お出迎えホール。チェックインして荷物を預けたら、おや、また外に出る? そう、来館者はまず田園風景の中、小道を10分近く歩かされる。あたりには地元の野草や、55種類にも及ぶ6000本の樹木が、広大な丘一面に。何世紀も前からこの土地に続く自然の造形のようだが、実は緻密に新設されたランドスケープであり、植生なのだ。風景に目を奪われていると、なだらかなカーブのはるか先に、大きなオブジェが視野に飛び込んでくる。ジェフ・クーンズの立体作品『Split-Rocker』だ。
続いて本館であるパビリオンが姿を現した。設計を手がけたのは、ミニマルな美しさで知られる建築家トーマス・ファイファー。11もの棟やギャラリーが、スイレンの浮かぶ池を囲むように配置されている。
建築家
トーマス・ファイファー
photo_Jason Schmidt, courtesy of Thomas Phifer and Partners
トーマス・ファイファー
photo_Jason Schmidt, courtesy of Thomas Phifer and Partners
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吉田実香
よしだ みか ライター/翻訳家。ライター/インタビュアーのパートナー、デイヴィッド・G・インバーとのユニットでNYを拠点に取材執筆。『Tokyolife』(Rizzoli)共著、『SUPPOSE DESIGN OFFICE』(FRAME)英文執筆、『たいせつなきみ』(マイラ・カルマン 創元社)翻訳。
