ARCHITECTURE
東京のANDO建築巡り。
『カーサ ブルータス』2017年12月号より
November 11, 2017 | Architecture, Travel | TADAO ANDO’S ENDEAVORS | text_Jun Kato editor_Tami Okano
東京にもANDO建築は数多くある。駅や図書館、美術館などであれば実際に見て回ることも可能だ。展覧会『安藤忠雄展―挑戦―』でANDO建築の魅力に触れた後は、少し足を延ばして実物を「体験」!
21_21 DESIGN SIGHT(港区)開館2007年(設計2003年〜、竣工2007年)
東京ミッドタウンの北西端、檜町公園に隣接する敷地に建つデザイン施設。三宅一生、佐藤卓、深澤直人という3人の現役デザイナーがディレクターとなり、独自の企画を展開する。建物の外観を特徴づけるのは、三宅の服づくりのコンセプトである「一枚の布」を着想とした、三角形に折り畳んだような大屋根。厚さ16mm、幅約2mの鉄板82枚を現場溶接でつないで「一枚の鉄板」にしたものだ。床面積の約8割は地下に埋設されており、背後のヒマラヤ杉や周囲の芝生の緑に包まれるようにたたずんでいる。
●10時〜19時。火曜休。入場料は展示により異なる。
●10時〜19時。火曜休。入場料は展示により異なる。
Collezione(港区)竣工1989年(設計1986年〜87年)
アスレチッククラブ、店舗、イベントホール、住居からなる複合商業施設。南青山の落ち着いた周辺環境に配慮し、施設のボリュームの半分を地下に収め、高さを抑えている。角度を違えて配された2つの直方体があり、その隙間に設けられた吹き抜けを持つ階段状の広場が、空間を立体的につなぎ、建物の軸となっている。各店舗へのアクセスも、広場と円筒に沿って巡る階段から。また、街から連絡するパブリックスペースを建物の中につくることで、街並みを豊かにすることにも寄与している。風や光そして街が入り込む、立体的迷路のような階段を巡ってみよう。
表参道ヒルズ(渋谷区)竣工2006年(設計1996年〜2003年)
表参道のランドマークとして親しまれてきた旧同潤会青山アパートの建て替え計画としてスタートした、店舗や住居などからなる複合施設。歴史ある表参道の景観と環境との調和の観点から、安藤は建物の高さをケヤキ並木と同じ程度に抑え、必要とされるボリュームの過半を地下に埋設。建物の中には表参道の心地よい坂道を同じ傾斜で取り込み、「第二の表参道」を創出した。大階段をもつ地下3階から地上3階までの吹き抜けのまわりには「スパイラルスロープ」が設けられ、各店舗を巡ることができる。風景や記憶の継承と再生を遂げ、表参道の新たな顔となっている。
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