ARCHITECTURE
オランダの出版社より、初の作品集を出版しました。
『カーサ ブルータス』2017年11月号より
October 21, 2017 | Architecture | a wall newspaper | photo_Tetsuya Ito text_Rie Nishikawa
〈スキーマ建築計画〉と〈SUPPOSE DESIGN OFFICE〉が、どちらも今年〈Frame Publishers〉から作品集を。
この3人の共通点は何でしょうか?
ほぼ同時期に、海外のしかも同じ出版社から作品集を出したスキーマ建築計画とSUPPOSE DESIGN OFFICE。作品集に込めた想いやそれぞれの本に対する感想を聞きました。これからの日本人建築家に必要なのは英語の作品集なんですか?
長坂 僕が今まで出版させてもらった本は、小さな判型の単行本だったので読み物という形で作りました。デスクトップのPCより小さなものに、作品を掲載することに疑問があったんです。大きなサイズで、作品写真をきっちり紹介する作品集が欲しかった。
吉田 作品だけだとウェブで簡単に見ることができます。だから作品集というよりは会社集。どんな人たちが、どんな働き方をして、何をつくっているのか、会社のポートフォリオという感覚ですね。そこに興味を持ってもらえるような本にしたかったんです。
谷尻 日本で出版したら、見てくれるのはほとんどが建築関係の人。もっと多くの人に見てもらえる、海外の出版社から出したいと考えていました。昔から建築において伝えるということを考えてきました。つくって終わりじゃない。どう伝えていくかを重視しています。
長坂 読み物ばかり作ってきたから、僕たちがやっている仕事が伝わらないというジレンマがありました。建築のスキーマ、家具の長坂、同じ人? という混乱も正直あって、断片的だったものをまずはウェブサイトでまとめて、そして今回の作品集を作ったのです。作品だけでなく、考えていることや設計のとっかかりになっていることについても書きました。
吉田 すごく常さんらしい本だなと思いました。とてもまとまっていて読みやすい。思い切ったタイポグラフィーだけのページもあって、写真のバランスも素晴らしい。
長坂 サポーズの本は、建築の作品集だと思って開くと、いい意味で期待を裏切られます。最初は事務所の風景やスタッフと楽しそうにしている写真がたくさんあって、最後にはごはんまで出てきて、何やっているんだろうと。それだけでも興味が持てます。
谷尻 食も細胞のデザインだと思っていて、忙しいからといってコンビニ弁当ばかりを食べていると、それが細胞を作って、その細胞がアイデアを作り、健康もつかさどる。だから根っこの食をデザインしなければならないと、社員のための食堂兼レストランを始めたんです。ほかに不動産屋や準備中のホテルプロジェクトなど、会社全体のプロジェクトや考え方を作品集では紹介しています。
長坂 僕が今まで出版させてもらった本は、小さな判型の単行本だったので読み物という形で作りました。デスクトップのPCより小さなものに、作品を掲載することに疑問があったんです。大きなサイズで、作品写真をきっちり紹介する作品集が欲しかった。
吉田 作品だけだとウェブで簡単に見ることができます。だから作品集というよりは会社集。どんな人たちが、どんな働き方をして、何をつくっているのか、会社のポートフォリオという感覚ですね。そこに興味を持ってもらえるような本にしたかったんです。
谷尻 日本で出版したら、見てくれるのはほとんどが建築関係の人。もっと多くの人に見てもらえる、海外の出版社から出したいと考えていました。昔から建築において伝えるということを考えてきました。つくって終わりじゃない。どう伝えていくかを重視しています。
長坂 読み物ばかり作ってきたから、僕たちがやっている仕事が伝わらないというジレンマがありました。建築のスキーマ、家具の長坂、同じ人? という混乱も正直あって、断片的だったものをまずはウェブサイトでまとめて、そして今回の作品集を作ったのです。作品だけでなく、考えていることや設計のとっかかりになっていることについても書きました。
吉田 すごく常さんらしい本だなと思いました。とてもまとまっていて読みやすい。思い切ったタイポグラフィーだけのページもあって、写真のバランスも素晴らしい。
長坂 サポーズの本は、建築の作品集だと思って開くと、いい意味で期待を裏切られます。最初は事務所の風景やスタッフと楽しそうにしている写真がたくさんあって、最後にはごはんまで出てきて、何やっているんだろうと。それだけでも興味が持てます。
谷尻 食も細胞のデザインだと思っていて、忙しいからといってコンビニ弁当ばかりを食べていると、それが細胞を作って、その細胞がアイデアを作り、健康もつかさどる。だから根っこの食をデザインしなければならないと、社員のための食堂兼レストランを始めたんです。ほかに不動産屋や準備中のホテルプロジェクトなど、会社全体のプロジェクトや考え方を作品集では紹介しています。
一冊の本として見ることの大切さ。
長坂 作品集を作ることで、あらためて気づかされることもありました。普段の仕事で感覚的に答えを出していることも、大切にしている言葉やコンセプトと結びつけて、再び考えていけます。英語版なので当然、翻訳していきますが、日本語のあいまいな文章のままだと英語に翻訳することができなくて。文章だけでなく、コンセプトや考えも、かなりクリアに作り込むことができました。
吉田 この作品集をスタッフが読んで、考えを共有していけるのもよかったです。外でレクチャーしても、その内容をスタッフは知りませんし、私たちが考えていることがスタッフには伝わっていないことも多いですしね。
谷尻 僕たちのことを知ってもらうという意味では、雑誌などでは紹介されないコンペで提案したプロポーザル作品も掲載しました。実際、プロポーザルのほうがよかったりするじゃないですか。クライアントワークではない、自分たちの主義主張を表現した作品。それらを掘り起こして見直すのも、いい経験になりました。
吉田 一冊の本という形になったことで、きちんと作品に向き合うことができたんじゃないかと思います。好きな建築家の本は何回も見ますし、どこのページに何が載っていたか覚えています。所有するという感覚もありますし。
谷尻 そこがウェブサイトとは異なるところですよね。ウェブは即効性、本は遅効性。本のほうがひとつの情報にかける時間が長くて、不便だけれども情報としての重さがあるし、残りますよね。
長坂 ウェブも本も両方必要だと思います。今までウェブサイトで、たくさんの情報を載せてきましたが、どれだけ僕のことをわかってくれているのか、伝わっているのかはわかりませんでした。この作品集を、僕が一緒にお仕事させていただいたり、親しくさせていただいている方たちにお送りしたら、「あらためて考えさせられました」
「作品をじっくり拝見しました」という感想を多くいただきました。本にはそういう力がありますね。
谷尻 作品集でこれまでをまとめながら、振り返ることが未来をつくることになる。これからをつくるためのものだと実感しました。事実、トリガーになって今後やりたいことも増えてしまいました。
長坂 これを機に、何かで一緒にできるプロジェクトがあることを期待しています。
吉田 この作品集をスタッフが読んで、考えを共有していけるのもよかったです。外でレクチャーしても、その内容をスタッフは知りませんし、私たちが考えていることがスタッフには伝わっていないことも多いですしね。
谷尻 僕たちのことを知ってもらうという意味では、雑誌などでは紹介されないコンペで提案したプロポーザル作品も掲載しました。実際、プロポーザルのほうがよかったりするじゃないですか。クライアントワークではない、自分たちの主義主張を表現した作品。それらを掘り起こして見直すのも、いい経験になりました。
吉田 一冊の本という形になったことで、きちんと作品に向き合うことができたんじゃないかと思います。好きな建築家の本は何回も見ますし、どこのページに何が載っていたか覚えています。所有するという感覚もありますし。
谷尻 そこがウェブサイトとは異なるところですよね。ウェブは即効性、本は遅効性。本のほうがひとつの情報にかける時間が長くて、不便だけれども情報としての重さがあるし、残りますよね。
長坂 ウェブも本も両方必要だと思います。今までウェブサイトで、たくさんの情報を載せてきましたが、どれだけ僕のことをわかってくれているのか、伝わっているのかはわかりませんでした。この作品集を、僕が一緒にお仕事させていただいたり、親しくさせていただいている方たちにお送りしたら、「あらためて考えさせられました」
「作品をじっくり拝見しました」という感想を多くいただきました。本にはそういう力がありますね。
谷尻 作品集でこれまでをまとめながら、振り返ることが未来をつくることになる。これからをつくるためのものだと実感しました。事実、トリガーになって今後やりたいことも増えてしまいました。
長坂 これを機に、何かで一緒にできるプロジェクトがあることを期待しています。
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