日本の木造モダニズムの先駆けにして、都市型小住宅の原型。〈土浦亀城邸〉が現代に甦るまで。
August 23, 2024 | Architecture, Design | photo_Masanori Kaneshita text_Tami Okano
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2024年8月に、港区南青山への復原・移築が完了した〈土浦亀城邸〉外観。かつては品川区上大崎に建っていた。
接道から約1.5メートルの高低差も移築前と同様で、タイル貼りの階段を上がった先に玄関がある。
土浦邸の立体的な空間構成を象徴するような玄関。モザイクタイルの土間の脇にはベンチも備えられている。
地下1階の勝手口。写真左手の階段は1階の台所へ繋がる。地下にはボイラー室と天窓をもつ浴室がある。
建築面積は約66平米(20坪)だが、ステップフロアによる空間の連続性で、面積以上の広がりを感じる。居間の白いソファーは造り付けで、玄関のベンチと一体でデザインされている。
中2階のギャラリー。両開きのガラス戸からバルコニーへと出られる。住宅の規模は、地下1階、地上2階建て。パイプフレームのシェーズロングは竣工時の写真から図面を起こし、復刻した。
吹き抜けの居間に面した食堂。天井には、パネルヒーティングが設けられていた。当時最先端の設備を配し、「健康的に楽しく暮らせる理想的な住まい」を目指した。
土浦夫妻の愛用品もそのまま残されており、オーダーで仕立てた大倉陶園のティーセットには、土浦の「T」の字が入っている。正面の引き戸を開けると台所と繋がるキッチンカウンターのような造り。極めて合理的。
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