ARCHITECTURE
2023年のプリツカー賞を受賞したデイヴィッド・チッパーフィールド。その建築的特徴と受賞の理由とは?
『カーサ ブルータス』2023年5月号より
April 22, 2023 | Architecture | a wall newspaper | text_Ayako Kamozawa (c) 2023 The Hyatt Foundation Sponsored by The Hyatt Foundation
トレンドを避け、時に自らのデザイン性をも主張しないチッパーフィールドの建築群。彼が受賞した意味を、本人と審査委員の言葉から読み解きます。
建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を、今年はサー・デイヴィッド・チッパーフィールドが受賞した。言わずもがなイギリス建築界の雄だが、彼の作品と聞いてパッとアイコンのように特定の建物や独特なフォルムが思い浮かぶ人は多くないかもしれない。数々の美術館や都市計画など代表作はあまたあるにもかかわらず、なぜなのか。審査委員長を務めたアレハンドロ・アラベナの言を借りよう。
「多くの建築家がコミッションを自分のポートフォリオに追加する機会と見なしている世界で、彼はプロジェクトごとに細心の注意を払い、個々に応じ設計を手がけます。力強く記念碑的なデザインが必要とされる場合もあれば、ほとんど姿=自らのデザイン性を消す必要がある場合もあるからです」(アラベナ)
「多くの建築家がコミッションを自分のポートフォリオに追加する機会と見なしている世界で、彼はプロジェクトごとに細心の注意を払い、個々に応じ設計を手がけます。力強く記念碑的なデザインが必要とされる場合もあれば、ほとんど姿=自らのデザイン性を消す必要がある場合もあるからです」(アラベナ)
“ほとんど姿を消す”。あえて言えば、それがチッパーフィールド建築の真骨頂かもしれない。ベルリンの〈新国立美術館〉など改修作品も多いが、新築作品でもチッパーフィールドは常に歴史に立ち返り、周囲との関連性を注意深く考察する。そして新しい用途や機能を取り入れつつ、あたかも以前からそこにあったような空間を出現させる。彼は言う。
「都市は歴史の記録であり、ある瞬間以降の建築は歴史の記録です。都市は動的であるため、ただそこにとどまるのではなく、進化します。そしてその進化の中で、私たちは建物を取り除き、別の建築に置き換えます。保護される建物もありますが、それだけでは不十分で、都市の進化の豊かさを反映する建築の本質も理解すべきなのです」(チッパーフィールド)
チッパーフィールドは独立したばかりの頃、ロンドンの〈ISSEY MIYAKE〉の店舗を設計したことを契機に日本で数々のプロジェクトを手がけ、それが彼の作風に与えた影響も少なくない。
「日本での初期の仕事の経験を通し、日常生活を向上させる建築の静かな力についての理解を深めました」(チッパーフィールド)
「都市は歴史の記録であり、ある瞬間以降の建築は歴史の記録です。都市は動的であるため、ただそこにとどまるのではなく、進化します。そしてその進化の中で、私たちは建物を取り除き、別の建築に置き換えます。保護される建物もありますが、それだけでは不十分で、都市の進化の豊かさを反映する建築の本質も理解すべきなのです」(チッパーフィールド)
チッパーフィールドは独立したばかりの頃、ロンドンの〈ISSEY MIYAKE〉の店舗を設計したことを契機に日本で数々のプロジェクトを手がけ、それが彼の作風に与えた影響も少なくない。
「日本での初期の仕事の経験を通し、日常生活を向上させる建築の静かな力についての理解を深めました」(チッパーフィールド)
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