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2022年のサーペンタイン・パビリオンは、シアスター・ゲイツの《ブラック・チャペル》|山下めぐみのロンドン通信

| Architecture, Art | casabrutus.com | text_Megumi Yamashita

シカゴの黒人コミュニティを再生する「ドーチェスター・プロジェクト」で知られるアーティストによるパビリオンが、ロンドンで10月16日まで展示。

2022年のサーペンタイン・パビリオンは、シアスター・ゲイツの《ブラック・チャペル》|山下めぐみのロンドン通信
2000年以来、ロンドンの〈サーペンタイン・ギャラリー〉の前に登場する建築パビリオン。ザハ・ハディドに始まり、フランク・ゲーリーやピーター・ズントーなど世界の巨匠、日本からは伊東豊雄、SANAA、藤本壮介、石上純也の作品が建てられてきた。

ここ数年は世の中の流れを反映し、若手やマイノリティーからの人選が行われてきた。今回セレクトされたのは、アメリカの黒人アーティスト、シアスター・ゲイツである。
シアスター・ゲイツ 1973年シカゴ生まれ。現在もシカゴを拠点とし、地元の黒人コミュニティの再生をライフワークに多岐に渡る作品を制作する。
シアスター・ゲイツ 1973年シカゴ生まれ。現在もシカゴを拠点とし、地元の黒人コミュニティの再生をライフワークに多岐に渡る作品を制作する。

天井の開口から注ぐ光と雨

《ブラック・チャペル》と名付けられたパビリオンはシンプルなデザインだが、さまざまな意味が込められたもの。また、交流の場であり、何かが起こるための「器」でもある。直径16m、高さは10mほどの円筒型。ファサードは木と屋根葺き材のアスファルトシートで覆われ、細長い2つの出入口がある。外観に続き、中も壁、天井、床と全てが黒一色だが、ローマのパンテオン神殿のようにドーム天井の真ん中には直径3mの丸い穴がぽっかりと空いている。ここから太陽の光が差し込み、また雨もそのまま降り注ぐ。壁に設置されたシルバーに光る7枚の《タール・ペインティング》は、ゲイツがこのパビリオンのために制作したもので、屋根を葺くようにバーナーで溶接するなどして制作されている。これらは屋根職人だった父に捧げられたものであるという。
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山下めぐみのロンドン通信illustration Yoshifumi Takeda

山下めぐみ

やました めぐみ  ロンドンをベースに各誌に寄稿。イギリスをはじめ、世界各地の建築やデザイン、都市開発にまつわるコンサルティング、建築を巡る旅を企画提案するArchitabi主宰。https://www.architabi.com

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