ARCHITECTURE
東京都庭園美術館で、朝香宮家が暮らした建物の記憶を巡る。
October 12, 2016 | Architecture, Design | casabrutus.com | photo_Shin-ichi Yokoyama text_Keiko Kamijo editor_Keiko Kusano
東京・白金にある東京都庭園美術館で、『アール・デコの花弁』展が開催中だ。同展は歴史ある庭園美術館の建物の素材や意匠に迫るもので、普段は撮影できない館内が、平日は撮影可能に! 『クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち』展と同時開催。
東京・白金にある東京都庭園美術館で、『アール・デコの花弁』展が開催中だ。東京都庭園美術館の別名は旧朝香宮邸という。朝香宮夫妻が1925年に開催されたパリのアール・デコ博(現代装飾美術・産業美術国際博覧会)を見て、おおいに刺激を受けそのエッセンスを凝縮させて、1929年から4年の歳月を費やして33年に竣工された建物だ。
アール・デコとは、それまでの植物の蔦が絡まっているようなアール・ヌーヴォー様式から一変した、幾何学的なスタイルが特徴的だ。しかしその幾何学模様は単にインダストリアルな冷たい意匠ではなく、当時のキュビズムや構成主義等のアートの流れや、さまざまな表現から影響を受け多彩な色やかたちを生み出し、しかもそれが家具や建築となって生活空間の中に現れた。
庭園美術館では、ガラスや大理石、タイル、金物……、室内の装飾に多彩な素材を用い、またそれぞれに合わせた意匠が楽しめ、アール・デコのさまざまな要素を伺い知ることができる。
庭園美術館では、ガラスや大理石、タイル、金物……、室内の装飾に多彩な素材を用い、またそれぞれに合わせた意匠が楽しめ、アール・デコのさまざまな要素を伺い知ることができる。
庭園美術館に入る時に、一番最初に目に付くのが「ガラス」だろう。正面扉にあしらわれた女性像はルネ・ラリックによるもの。女性が胸を突き出しているガラスレリーフは、鋳型にガラスを流し込む方法で作られている。後光のように女性の周囲にめぐらされている花綱模様は、顔料を含んだ溶液を使い古色を表現する「パチネ」という手法が使われている。
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