陶片から生まれる新しいパターン。グセアルスの特別展が開催中! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

陶片から生まれる新しいパターン。グセアルスの特別展が開催中!

アーティストユニット・guse ars(グセアルス)の展覧会が、多治見市モザイクタイルミュージアムで開催中だ。展示されているのは、80もの美しいパターン。それらは多治見の歴史を内包した陶磁器片から生み出されている。小さな模様の欠片から派生していく、パターンのサイクルとは?

河岸や海辺に流れ着いた陶片から模様を抽出し、新しいパターンを生み出す〈washed pattern〉プロジェクト。展覧会を行う際は、その土地に漂着する陶片の採取を行なうこともあり、今回は日本を代表するタイルの産地、多治見で見つけた300近い陶片がパターンの種となっている。
何かの拍子に割れていまい、長い時間をかけて、河岸や海辺に流れ着いた陶片。そこに残された模様を抽出し、新しいパターンを生み出すプロジェクトを続けているのが、村橋貴博と岩瀬敬美の2人からなるアートユニット・guse ars(グセアルス)だ。

彼らが多治見市モザイクタイルミュージアムのプレイベントとして「washed pattern TAJIMI 〜欠片から生まれる未来の模様〜」を開催したのは2015年のこと。それから4年、再び多治見の地で展覧会を開催する。
会場エントランス。美しいパターンはいずれも、指先ほど小さな陶片から生まれたもの。
陶片を約20倍に拡大したオブジェ。大きくすることで、割れた陶片が固有の形や柄など面白い要素を持っていることに改めて気づかされる。
中段左から《吸血コウモリ》《ウィスキーボトル》《シニヨンヘア》と名付けられたパターン。模様を見立てる視点もユニークだ。
guse arsのパターンから生まれたプロダクトタイル。製造は多治見市にある〈長江陶業〉が担当している。2015年に発表し、現在も14種を販売する。1枚1500円。
会場エントランス。美しいパターンはいずれも、指先ほど小さな陶片から生まれたもの。
陶片を約20倍に拡大したオブジェ。大きくすることで、割れた陶片が固有の形や柄など面白い要素を持っていることに改めて気づかされる。
中段左から《吸血コウモリ》《ウィスキーボトル》《シニヨンヘア》と名付けられたパターン。模様を見立てる視点もユニークだ。
guse arsのパターンから生まれたプロダクトタイル。製造は多治見市にある〈長江陶業〉が担当している。2015年に発表し、現在も14種を販売する。1枚1500円。
「陶片はあらゆる偶然が重なって生まれたもの。そこから模様を採取して、新しいパターンへと繋げる行為は、生命が子孫をつなげていくサイクルにも似ていると思う」と2人。多治見で拾い集められた陶片には、多治見の陶器産業の歴史が刻まれている。実際、彼らが集めた多数の陶片をミュージアムのスタッフに見せると、明治時代から愛されてきたウィロー・パターン(柳模様)の皿の一部と思われるものが少なくとも6点見つかった。

陶片が「過去」と繋がると、そこから生まれたパターンに「現在」という時間軸が与えられる。そして今回は「さらに進んだ未来の姿を見せることも試みた」と2人。今回生み出したパターンを実際にタイルに刷り、そのタイルを割って破片を採取。そこからさらに新しいパターンを考えているのだ。
中央に置かれているのは多治見市美濃焼ミュージアムが所蔵する《銅版山水楼閣図皿》。日本でも明治時代ごろからウィローパターン(柳模様)の製品が作られ、この一部と思われる陶片からも新たなパターンが生み出された。
guse arsの2人が多治見に赴き、自分たちで拾い集めたという陶片。
生み出したばかりのパターンをタイルに刷り、それがいつか割れることを想定して、さらに“未来のパターン”をつくる。陶片が種子のように機能し、デザインが数珠繋ぎに続いていく面白さがある。
生成された“未来のパターン”。サイクルはどこまでも続いていく。
中央に置かれているのは多治見市美濃焼ミュージアムが所蔵する《銅版山水楼閣図皿》。日本でも明治時代ごろからウィローパターン(柳模様)の製品が作られ、この一部と思われる陶片からも新たなパターンが生み出された。
guse arsの2人が多治見に赴き、自分たちで拾い集めたという陶片。
生み出したばかりのパターンをタイルに刷り、それがいつか割れることを想定して、さらに“未来のパターン”をつくる。陶片が種子のように機能し、デザインが数珠繋ぎに続いていく面白さがある。
生成された“未来のパターン”。サイクルはどこまでも続いていく。
「パターンを考えることは、リピートする行為でもあります」と2人。確かに、無限に繰り返すことのできる2人のプロジェクトは生命の輪廻を思わせる。

「ただそれは、僕らも活動を続ける中で気づいたこと。プロジェクトの当初は、単に陶片から新しい模様を生み出すことに熱中していました。今でもその感覚は大切にしていて、今回は過去と紐づけたり、未来を模索したりもしましたが、発表しているパターンのほとんどが、陶片の歴史をあえて探らずに、パターンが放つ世界観と面白さを追求して生み出したものです。その意味で、初期から継続する姿勢をシンプルに表している展示とも言えるかもしれません」

パターンを生み出す際は、1つの陶片から多数の模様を試作し、それらをブラッシュアップしながら1つに絞っていくという。それだけでも膨大な作業量だが、2人は集めた300近い陶片のすべてでそのスタディを実行している。「陶片を見ただけでは、そこからどんな模様が生まれるか全く予測できないんです。1mm角度を変えるだけで全く違う図案になるし、結果、思いもよらぬパターンが生まれることがほとんど。だから必ず手を動かしてみます」。そうして完成したパターンには、《吸血コウモリ》や《ウィスキーボトル》といった、直感的でチャーミングな名が付けられている。陶片の持つ時間を内包した詩的なプロジェクトであると同時に、デザインの可能性を極めてシンプルな方法で広げていく、遊び心のある実験でもある。
guse ars グセアルス
村橋貴博と岩瀬敬美の2人からなるアートユニット。2010年より活動をスタート。ユニット名は、人の行為から生まれる寝癖や口癖などの「癖(guse)」と、ラテン語で芸術、技術、手仕事などを意味する「ars」をつなげた造語。

guse ars exhibition
『PATTERN SEED 〜漂う未来模様〜』

〈多治見市モザイクタイルミュージアム〉
岐阜県多治見市笠原町2082-5 TEL 0572 43 5101。9時〜17時。月曜休。観覧料300円。開催中〜5月12日まで。多治見で拾い集めた陶片から模様を採取し、80もの新しいパターンを生み出して発表する。3月にはguse arsの2人と一緒にオリジナルのタイルを制作するワークショップも開催予定。