「アール・デコと非ヨーロッパ圏の出会い」とは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

「アール・デコと非ヨーロッパ圏の出会い」とは?

ヨーロッパを中心に発展したアール・デコに、新しい風を吹き込んだ非ヨーロッパ圏の文化、美術を紹介する展覧会が〈東京都庭園美術館〉で開催中だ。

日本橋三越を手がけた装飾美術家ルネ・プルーによる椅子。
植物や花を思わせる、おだやかな自由曲線のモチーフで構成されたアール・ヌーヴォーに続き、1910年代から1930年代にかけて流行したアール・デコは、定規で引いたような直線的なデザインが象徴的だ。そんなアール・デコにアジアや中東、アフリカなど非ヨーロッパ圏の文化・美術が混合され、これまでの造形や美意識に大きな影響を与えたことはあまり知られていない。そんなアール・デコの側面に焦点を当てた、異国情緒を感じさせる展覧会が〈東京都庭園美術館〉にてスタートした。

展示はドレスやローブ、コートなどの衣類、ブローチやブレスレットなどのジュエリーをはじめ、絵画、彫刻など約90点の作品を通して、“エグゾティズム”の魅力を追求していく。中にはフランスの〈30年代美術館〉や〈モビリエ・ナショナル〉の国内初公開作品も展示されている。
デザイナーのポール・ポワレが製作した龍文様の室内用ローブ。(藤田真理子、ポール・ジュリアン・アレキサンダー)
たとえばフランスのデザイナー、ポール・ポワレが制作したローブ。当時の東洋や中近東のものを参考にしていた彼が手がけたローブは、留めにチャイナボタンや清朝の皇帝服のような裾が広がったデザインを取り入れている。またポワレの妻が着用したドレスやコートには、イスラム圏で見られる首回りのカットや色彩、シルエット、刺繍などが採用された。
〈ヴァン クリーフ&アーペル〉《エジプト風ブローチ》1924年、Van Cleef & Arpels
そのほかジュエリーも、非ヨーロッパ圏の影響を受けている。1922年にツタンカーメン王墓が発見されたことにより、パリにエジプト・ブームが起こった。これによりフランスを拠点とするジュエリーブランド〈ヴァン クリーフ&アーペル〉が、エジプト風のブローチやブレスレットを発表し、人気を博した。
フランソワ・ポンポン《シロクマ》1923-33年、群馬県立館林美術館蔵
ジャン・デュナン《球型花瓶(緑、黒)》1925年、東京国立近代美術館蔵
ジャン・デュナン《森》、20世紀前半、〈モビリエ・ナショナル〉
フランソワ・ポンポン《シロクマ》1923-33年、群馬県立館林美術館蔵
ジャン・デュナン《球型花瓶(緑、黒)》1925年、東京国立近代美術館蔵
ジャン・デュナン《森》、20世紀前半、〈モビリエ・ナショナル〉
西洋の伝統から脱却し、モチーフの引用だけにとどまらず素材、技術、色彩にまで、大きな影響を与えた非ヨーロッパ圏の文化と美術。アール・デコ様式の〈東京都庭園美術館〉に、エキゾティックな雰囲気を味わいに行きたい。

「エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し」

〈東京都庭園美術館〉東京都港区白金台5-21-9 TEL03 5777 8600(ハローダイヤル)。〜2019年1月14日。第2・4水曜(12月28日〜2019年1月4日休)。10時〜18時(入場は閉館30分前まで)。入場料1,200円。