ジョアンナ・タガダがつくる、ユートピアとしての布の建築。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ジョアンナ・タガダがつくる、ユートピアとしての布の建築。

『カーサ ブルータス』2018年6月号より

注目の仏人アーティスト、ジョアンナ・タガダの個展が開催。代表作である布でつくった立体作品で彼女が伝えたいことは?

photo_Naoi Magaki
英国のファッションブランド〈エッグ〉のデザイナー、モーリーン・ドハーティにその才能を認められるなど、欧米を中心に活躍するアーティスト、ジョアンナ・タガダ。その世界観について本人に話を聞きました。

Q 今展でも発表する、テント型の作品について教えてください。
この作品は過去に2度制作していて、今回が3作目です。人々に呼びかけて不要となったコットンやリネンを集め、それを日常生活で出た果物や野菜の種や皮で染色し、縫い合わせてテントに仕立てています。作品の中心にあるのは「Penser(考える)、Manger(食べる)、Partager(分かち合う)」という3つの動詞で、ささやかで確かな生きることについて思いを巡らせる空間になっています。

Q 内部に入れるそうですね。
はい、大人も子どもも誰もが迎え入れられる場所です。空間はごくシンプルですが、例えばメッセージが刺繍してあったり、すぐには気づかないような、微妙なものがちりばめてあります。くつろぎ、呼吸し、笑い、眠り、微笑み、祈り、語り、愛し、遊び、考え、回想し、他者への思いやりを深める、そうした人生のあらゆる営みを包み込む場。この空間はアートが創造できる一種のユートピアです。
ジョアンナの代表作である布の立体作品。
内部などにメッセージが刺繍されていて、鑑賞者は中に入って作品を体感できる。photo_Johanna Tagada
内部などにメッセージが刺繍されていて、鑑賞者は中に入って作品を体感できる。photo_Johanna Tagada
ジョアンナの代表作である布の立体作品。
内部などにメッセージが刺繍されていて、鑑賞者は中に入って作品を体感できる。photo_Johanna Tagada
内部などにメッセージが刺繍されていて、鑑賞者は中に入って作品を体感できる。photo_Johanna Tagada
Q 建築的な要素も感じます。
そうですね。建築にも興味があって、特に自然を尊重し、その要素を取り入れている建築、暮らしに焦点を当てたユーモアのある建築が好きです。日本人の建築家では藤森照信や手塚由比+手塚貴晴のユニットに惹かれます。

Q 独特の淡い色彩で表す事は?
私は作品を通して、人々の生活に光と愛を届けたいと願っています。思いやり、誠実さ、希望……それが色として表れます。そうしたアプローチをナイーブだと受け取る人もいるかもしれませんが、私はそれを強さだと信じています。

Q 最後に個展タイトルの意味を。
『Take Care - きをつけて』というタイトルは、環境保護をはじめ、さまざまな社会状況に関連しています。これはオープンな願いであり、穏やかなメッセージ。多くの人々とこの感覚を共有したいです。
写真も表現のひとつ。絵画とも通ずる、柔らかな色彩で世界を写す。
写真も表現のひとつ。絵画とも通ずる、柔らかな色彩で世界を写す。
「絵を描くことは"仲間"」とジョアンナ。何をする時も一緒で、「絵描きのように写真を撮り、絵描きのように彫刻をする」と話す。
「絵を描くことは"仲間"」とジョアンナ。何をする時も一緒で、「絵描きのように写真を撮り、絵描きのように彫刻をする」と話す。
写真も表現のひとつ。絵画とも通ずる、柔らかな色彩で世界を写す。
写真も表現のひとつ。絵画とも通ずる、柔らかな色彩で世界を写す。
「絵を描くことは
「絵を描くことは

ジョアンナ・タガダ

1990年フランス生まれ。立体、絵画、写真などを通し、自然環境や消費活動への注意を穏やかに伝える作品を発表。〈エッグ・トレーディング〉など個展多数。photo_Jatinder Singh Durhailay

『Take Care - きをつけて』 

立体作品のほか、植物画シリーズ第3弾となる「Deep Ecology」なども発表。〈nidi gallery〉東京都渋谷区東2-27-14 ペガサスマンション恵比寿102 TEL 03 6277 5579。5月11日〜24日。13時〜20時。水曜休。