歌川国芳の“歩く金魚”が教えてくれる、江戸の暮らし。|ニッポンのお宝、お蔵出し | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

歌川国芳の“歩く金魚”が教えてくれる、江戸の暮らし。|ニッポンのお宝、お蔵出し

季節に応じて床の間の軸を替えるように絵や彫刻を愛でる。今回は歌川国芳《金魚づくし》全9図が揃います。

歌川国芳《金魚づくし 百ものがたり》ベルギー王立美術歴史博物館。怪談を100語り終えたところで登場した怪物の猫に慌てふためく。
日本美術、特に絵画は傷みやすいため、西洋美術と違って限られた期間にしか公開されません。ルーヴル美術館の《モナ・リザ》のようにいつもそこにあるわけではないので、展示されるチャンスを逃さないようにしたいもの。本連載では、今見るべき日本美術の至宝をご紹介!

今回のお宝:歌川国芳《金魚づくし》
お宝ポイント:着物を着た猫の浮世絵で人気の歌川国芳による、擬人化されつくした金魚。
公開期間:2018年4月17日〜6月10日(前期〜5月13日/後期5月15日〜)。
※9図が揃って展示されるのは前期のみ。後期にも一部の作品は展示される。
公開場所:〈大阪市立美術館〉

歌川国芳《金魚づくし 酒のざしき》ベルギー王立美術歴史博物館。飲めや歌えやの大宴会。
何でも擬人化するのが大好きな日本人。犬などの動物はもちろんのこと、機械も美少女化したり、《○○ちゃん》などと愛称をつけて可愛がったりしてしまう。そのルーツは少なくとも江戸時代にさかのぼるようだ。猫好きで知られる歌川国芳は着物を着た猫を描いた浮世絵で人気になった。その国芳が猫の他に擬人化して描いた生き物が金魚だ。
歌川国芳《金魚づくし いかだのり》個人蔵。右側の金魚は尾びれを水草で留めている。蛙の櫂さばきも見事だ。
《金魚づくし》は尾びれを足に、胸びれを手にみたてた金魚が江戸の日常の一コマを演じるシリーズ。《ぼんぼん》は子供たちが手をつないで歌いながら歩くお盆の季節の遊びを描く。団扇で涼をとる金魚も蛙の手を引いてあげる金魚も楽しそうだ。《いかだのり》では経木でできた筏に金魚が載っている。《にはかあめんぼう》ではあめんぼの長い足を雨脚に見立てた。そもそも、そこは水中なのでは……? といったツッコミはとりあえず脇に置いておこう。
歌川国芳《金魚づくし にはかあめんぼう》ベルギー王立美術歴史博物館。水草の葉を傘に、あめんぼの雨から逃げる。