ART
インターネットからアートが生まれる時代です。
『カーサ ブルータス』2018年3月号より
February 17, 2018 | Art | a wall newspaper | text_Arina Tsukada editor_Yuka Uchida
デジタル環境から新たな"絵画"を生み出す作家、ラファエル・ローゼンダールとは何者か?
毎日欠かすことなく目にするインターネットは、いまや私たちにとって「風景」のひとつ。だとすれば、従来の画家が山や森などのランドスケープを描いたように、ブラウザ越しの“景色”を描く作家がいてもおかしくないだろう。NYを拠点に活動するアーティスト、ラファエル・ローゼンダールは「ネットアート」という新ジャンルを牽引するひとりだ。
彼がはじめに注目を集めたのは、自身が開発したウェブサイトを丸ごと“作品”にしてしまうシリーズである。シンプルな造形と目を引く独自の彩色に、時折インタラクティブな演出を加えたアートワークをブラウザ上で公開し、コレクターには個々のサイトのドメインを販売する。つまり“作品”には世界中から誰でもアクセスでき、所有者はそのドメインの権利を保有するという仕組みだ。これはラファエルがアーティスト仲間とともに弁護士と協議して作ったシステムで、ネット時代の所有の概念を問う現象として話題となった。
彼がはじめに注目を集めたのは、自身が開発したウェブサイトを丸ごと“作品”にしてしまうシリーズである。シンプルな造形と目を引く独自の彩色に、時折インタラクティブな演出を加えたアートワークをブラウザ上で公開し、コレクターには個々のサイトのドメインを販売する。つまり“作品”には世界中から誰でもアクセスでき、所有者はそのドメインの権利を保有するという仕組みだ。これはラファエルがアーティスト仲間とともに弁護士と協議して作ったシステムで、ネット時代の所有の概念を問う現象として話題となった。
しかし、ここ数年の彼の最大の進化はコンピューターのディスプレーから私たちが日々受け取る感覚をそのまま現実空間に拡張したことだろう。ディスプレーのイメージとはキャンバスや彫刻などとは異なり、常に変化し発光するものである。その特性に着目した彼は、光の角度によって多様な色彩を生むレンチキュラーシートを用いた作品を発表し、インターネットにおける無常さを一枚の絵画に昇華させた。現代のメディアに対し卓越した感性で挑むラファエル作品の数々は、デジタル時代に生まれた最先端の“絵画”なのだ。
ラファエル・ローゼンダール
1980年オランダ生まれ。NY在住。世界各国の美術館やギャラリー、時に公共空間で作品を発表する。日本の俳句を愛し、自身も英語で「Haiku」を発表。