インターネットからアートが生まれる時代です。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

インターネットからアートが生まれる時代です。

『カーサ ブルータス』2018年3月号より

デジタル環境から新たな"絵画"を生み出す作家、ラファエル・ローゼンダールとは何者か?

Internet『abstract browing.net』 ウェブ上に公開された作品。ピエト・モンドリアンのような、母国オランダの抽象芸術を彷彿とさせる。(c)Rafaël Rozendaal Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art
毎日欠かすことなく目にするインターネットは、いまや私たちにとって「風景」のひとつ。だとすれば、従来の画家が山や森などのランドスケープを描いたように、ブラウザ越しの“景色”を描く作家がいてもおかしくないだろう。NYを拠点に活動するアーティスト、ラファエル・ローゼンダールは「ネットアート」という新ジャンルを牽引するひとりだ。

彼がはじめに注目を集めたのは、自身が開発したウェブサイトを丸ごと“作品”にしてしまうシリーズである。シンプルな造形と目を引く独自の彩色に、時折インタラクティブな演出を加えたアートワークをブラウザ上で公開し、コレクターには個々のサイトのドメインを販売する。つまり“作品”には世界中から誰でもアクセスでき、所有者はそのドメインの権利を保有するという仕組みだ。これはラファエルがアーティスト仲間とともに弁護士と協議して作ったシステムで、ネット時代の所有の概念を問う現象として話題となった。
Internet『watch you rot .com』こちらもウェブ上に公開されている作品。赤いスクエアの外周を、カラフルなブロックが移動し続ける。 (c)Rafaël Rozendaal Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art
しかし、ここ数年の彼の最大の進化はコンピューターのディスプレーから私たちが日々受け取る感覚をそのまま現実空間に拡張したことだろう。ディスプレーのイメージとはキャンバスや彫刻などとは異なり、常に変化し発光するものである。その特性に着目した彼は、光の角度によって多様な色彩を生むレンチキュラーシートを用いた作品を発表し、インターネットにおける無常さを一枚の絵画に昇華させた。現代のメディアに対し卓越した感性で挑むラファエル作品の数々は、デジタル時代に生まれた最先端の“絵画”なのだ。
Lenticularディスプレーを現実空間に引き出す素材としてレンチキュラーを使い、毎回異なるイメージを見せる美しいゆらぎを演出した。 (c)Rafaël Rozendaal Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art
InstallationNYタイムズスクエアにて、深夜の数分だけ全モニター広告をアートでジャックするプロジェクトに参加し、高い評価を得た。 (c)Rafaël Rozendaal Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art
Textileウェブサイトの構成要素を抽象化し、ジャカード織りのタペストリーに展開した作品。織り機はコンピューターの起源でもある。  (c)Rafaël Rozendaal Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art
2つの展覧会が開催!

『ラファエル・ローゼンダール:ジェネロシティ 寛容さの美学』 
世界初となる美術館個展が十和田市現代美術館で開催中。5月20日まで。

第10回恵比寿映像祭
15日間にわたり開催される映像とアートの国際フェスティバルに、ラファエル・ローゼンダールも参加。東京都写真美術館 3階 展示室にて展示中。2月25日まで。

ラファエル・ローゼンダール

1980年オランダ生まれ。NY在住。世界各国の美術館やギャラリー、時に公共空間で作品を発表する。日本の俳句を愛し、自身も英語で「Haiku」を発表。

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