いまパリが検証する「モダンであること」。〈フォンダシオン ルイ・ヴィトン〉MoMAコレクション展 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

いまパリが検証する「モダンであること」。〈フォンダシオン ルイ・ヴィトン〉MoMAコレクション展

『カーサ ブルータス』2017年12月号より

すっかりパリの顔のひとつとなったフランク・ゲーリーの〈フォンダシオン ルイ・ヴィトン〉で、大規模なMoMAのコレクション展が開幕。隠れた名作も多数展示しています。

シニャック、キリコ、カルダー、そして“現代美術の父”、マルセル・デュシャン(手前)のレディメイド彫刻。2つの大戦の狭間で戦地となった「狂乱のパリ」から、軍需景気に潤うニューヨークへと中心を移していった20世紀前半の美術史を一気に駆け抜ける。
これほどの規模のMoMA展がフランスで開催されるのは意外にも初めてなのだという。膨大な所蔵品から厳選された200点の展示の大きな見どころは、これまでパリに旅する機会の少なかったアメリカの現代美術を通して戦後史を通観していることだ。

「1929年、ちょうどモダニズムの黎明期に始まり現在に至るMoMAのコレクションは極めて多様性に富んでいます。アートの変容を、時代背景とともに時系列で見せる展示が、“モダン”の定義を改めて検証し、社会環境の変化を人類学的に俯瞰することにつながる、挑戦的なインスタレーションになったと思います」と近年ポンピドゥーからMoMAへ移った本展キュレーター、クエンティン・バジャックは語る。彼の言うように、20世紀初頭に美術の中心地がパリからニューヨークへ移って以降、アメリカを基点に見た現代社会の様相すべてがMoMAのコレクションに反映されているといってもいい。民間の寄付や寄贈に支えられる私設美術館であればこそ、個人の感覚や思想の投影であるアートコレクションは歴史的に重要なアーカイブであり、そのキュレーションは時代精神を理解し評価する使命を帯びている。

「近現代美術の象徴であるMoMAのコレクションを当館でどう見せるのか。それはプライベートに育まれてきた情熱や審美眼を公にして、広く人々の心を揺さぶるという大きなリスクを伴う仕事です。私設美術館ならではの選ばれしミッションと自負しています」とアドバイザーを務めるジャン・ポール・クラヴリは語る。

共にリーダーが交替したフランスとアメリカの私設美術館が仕掛ける本展から何を読み解くか。議論は大いに白熱するはずだ。
我らが草間彌生(手前)、フルクサス作家ブレクト、ナウマンのネオン彫刻、からの、ソニック・ユースのジャケットでも知られるクリストファー・ウールのグラフィックペインティングへ。戦後アメリカ全土に拡大した消費社会の発展をきめ細くたどる展示が続く。