アートの祭典《ドクメンタ》開幕! カッセル会場の必見アート10。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

アートの祭典《ドクメンタ》開幕! カッセル会場の必見アート10。

5年に一度という開催頻度や、全世界から作品が集まることから、ドイツメディアでは”アート界のオリンピック”とも呼ばれる〈ドクメンタ〉。今年のテーマは「アテネに学ぶ」。1955年の開催以来、初めてのサテライト会場が誕生し、ドイツだけでなく、ギリシャ・アテネでも展示が行われています。カーサは本会場であるドイツ・カッセルをレポート。必ず見ておきたいアート作品をピックアップして紹介します。

1955年にドイツの古都カッセルで誕生した現代アートの祭典〈ドクメンタ〉。今年は、開催以来初めのサテライト展示として、アテネ会場を設置。そもそも、ギリシャはドイツをはじめ、ヨーロッパ諸国の芸術の源でもある。その歴史を尊重し、コンテンポラリーアートの世界で皆一丸となって、表現をしていこうという試みだ。〈ドクメンタ〉は冷戦時代から常に政治的、社会的なテーマを呼びかけてきた。ヨーゼフ・ボイス、アンディー・ウォーホール、ゲルハルト・リヒター、アイ・ウェイウェイといった著名アーティストも参加している。

5年に一度という開催頻度から“アート界のオリンピック”とも言われる〈ドクメンタ〉だが、アートはオリンピックのように勝ち負けがない。今回も、難民問題、ジェンダー、少数民族、人間の尊重といった今世界を取り巻く問題が取り上げられ、いわゆるアート・マーケットとは一線を画す、ニュートラルな視点が特徴だ。今回カーサはカッセル会場をレポート。数ある作品から、10作品をピックアップして紹介する。

1《本のパンテオン》マルタ・ミヌジン 

《The Panthenon of Books》(1983/2017)by Martha Minujin
《The Panthenon of Books》(1983/2017)by Martha Minujin
アルゼンチン人アーティスト、マルタ・ミヌジンによる本のパンテオンは80年代にブエノスアイレスで発禁書を集めて作られたインスタレーションの現代版。カッセルでは世界の発禁書リストがインターネットで公開されつづけ、来訪者や協力者により寄付された本が連日、クレーンで積み上げられている。会場となっているフリードリッヒ広場は、ナチス時代に焚書の歴史があった場所。言葉の重さと真の民主主義を問う、象徴的な作品。

2《ホップスコッシュ》ヴァラシス・カニアリス 

《Hopscotsch》(1974)by Vlassis Caniaris
ドクメンタのメイン会場「フィリディシウム」にはアテネ現代美術館が所蔵作品を展示。これらはギリシャ国外で初めて公開されるという。中でも注目は、第二次世界大戦後、ギリシャのアート界のパイオニアとされる、ヴァラシス・カニアリスのインスタレーション。1983年にドイツですでに発表された作品で、頭のない人とスーツケースが置かれている。1970年代のギリシャ人移民の葛藤は、現在の難民問題にも照らし合わせることができそうだ。インスタレーションの背後の壁にある、ギリシャとドイツの旗の融合作品も1974年のカニアリスによるもの。