驚異の想像力が生み出した《バベルの塔》を見に行こう! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

驚異の想像力が生み出した《バベルの塔》を見に行こう!

ブリューゲル1世が描いた《バベルの塔》が24年ぶりに来日! 本物は小ぶりな画面に巨大な塔とたくさんの人やものがぎっしりと描かれています。見るたびに発見がある、名画の見どころを解説します。

ピーテル・ブリューゲル1世《バベルの塔》1568年頃 架空の工事風景だが、思わずその労苦を想像してしまう。塔の下の方が色が薄く、上が濃くなっているのは長い年月のうちに下の方はレンガの色があせてきたことを表している。
Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands
大友克洋、デジタルコラージュ:河村康輔《INSIDE BABEL》(2017年 デジタルプリント、紙)。大友が想像した、バベルの塔のカットモデル。ブリューゲルに負けない精密さが要求された。 (c) マッシュ・ルーム 大友克洋
ピーテル・ブリューゲル1世、彫版:ピーテル・ファン・デル・ヘイデン《大きな魚は小さな魚を食う》1557年 画面左の歩く魚や中央上の空を飛ぶ魚はボスのモンスターから着想したと思われる。弱肉強食を皮肉なタッチで描いた版画。 Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands
ヨアヒム・パティニール《ソドムとゴモラの滅亡がある風景》1520年頃 神の怒りに触れて滅ぼされた街から、二人の天使に導かれて逃げるロトと娘たちの絵。だが肝心の天使とロトたちは右側に小さく描かれ、切り立った岩や燃えさかる街が画面の大半を占める。旧約聖書の物語を描いた宗教画でありながら、実質的には風景画になっている。 Loan Netherlands Cultural Heritage Agency, Rijswijk/Amersfoort, on loan to Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands
ルカス・ファン・レイデン《ヨセフの衣服を見せるポテパルの妻》1512年頃 ポテパルの妻は夫に、召使いのヨセフに襲われたと訴えるが、実際は妻がヨセフに言い寄った、という話。豪華な服など《バベルの塔》に負けない精密描写に注目。
Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands
〈東京都美術館〉にて開催中の「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展 16世紀ネーデルラントの至宝 −ボスを超えて−」。ブリューゲルことピーテル・ブリューゲル1世は1526年か30年ごろに生まれ、1569年に没した画家。その生涯にはわからないことも多いが、アントワープやブリュッセルで活躍した。2人の息子も画家となっている。

《バベルの塔》は旧約聖書の物語。あるとき人々が天に届く塔を作ろうと考えた。それに怒った神は人々の言葉が互いに通じないようにしたため工事は中断、人々は散り散りになってしまった、という話だ。

ブリューゲル1世《バベルの塔》は印刷物でもよく見る有名な絵だ。が、実物を見ると意外に小さいのに驚く。縦横それぞれ約60センチ×75センチ程度しかないのだ。ブリューゲル最晩年の作である。
ヨハネス・ウィーリクス《ピーテル・ブリューゲル1世の肖像(部分)》1600年出版 ブリューゲルの死後まもなく制作された、もっとも似ていると思われる肖像画。
Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands
バベルの塔がどのような形だったか、旧約聖書には記述はないので画家はそれぞれ想像によって描くことになる。他の画家は四角い高層ビルのような形の塔なども描いているが、ブリューゲルの塔は丸い螺旋形。ローマのコロッセウムをヒントにしたとも言われている。ブリューゲルの絵は大きな注目を集め、後の画家にも影響を与えた。

今回出品されている《バベルの塔》には約1400人もの人が描かれているという。注目すべきはその工事風景だ。ブリューゲルは当時のネーデルラントで行われていた工事の様子を描き込んだと思われる。木で組んだ足場につけた大きな滑車で材料を持ち上げ、さらにはしごで上に持ち上げているようだ。
ピーテル・ブリューゲル1世、彫版:フランス・ハイス《アントウェルペンのシント・ヨーリス門前のスケート滑り》1558年頃 凍った運河でスケートやホッケーに興じる人々。みんな楽しそうでつい仲間に入りたくなる。
Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands
ピーテル・ブリューゲル1世《野ウサギ狩り》1560年 狩人が二羽のウサギを狙っているところから「二兎を追う者は一兎をも得ず」の教訓かとも言われる。
Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands
「塔の場所によって色が違うのは、産地の異なるレンガを使っているのでしょうか。塔の左側が白くなっているのは運び上げている漆喰がこぼれているのでしょう」と説明するのはこの絵を所蔵しているボイマンス美術館のシャーレル・エックス館長。普段は毎日のようにこの絵を見ているだけあって観察が細かい。

「《バベルの塔》は人間の傲慢さ、愚かさを表していると言われていますが、私はそうは思わないんです。高い塔の建設に挑戦する、人間の勇敢さを描いて答えのない問いを投げかけている。こうして現実とは違う架空の世界を描くことができるのがアートの素晴らしさだと思います」
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