千葉・市原の小さな電車とアートの旅へ|青野尚子の今週末見るべきアート | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

千葉・市原の小さな電車とアートの旅へ|青野尚子の今週末見るべきアート

クリーム色と赤のカラーリングがかわいい小湊鐵道沿線で開催中の『いちはらアート×ミックス2020+』。電車とからむアートがもっと遠くへ旅をさせてくれる芸術祭です。

『いちはらアート×ミックス2020+』のラッピングが施された「小湊鐵道」で気分も盛り上がります。
磯辺行久《養老川を翔ぶ》。熱気球から蛇行する川の様子を見るプロジェクト。今回は養老川のかつての姿を可視化する作品も制作している。 photo_Osamu Nakamura 画像提供:いちはらアート×ミックス実行委員会
〈上総村上駅〉レオニート・チシコフ《第二の駅 村上氏の最後の飛行 あるいは月行きの列車を待ちながら》。駅のベンチにひとり腰掛ける孤独な宇宙飛行士。
〈上総久保駅〉西野達《上総久保駅ホテル》。駅舎と隣り合うホテルの客室からは電車ビューを独り占めできる。
『いちはらアート×ミックス2020+』が開かれている市原市は千葉県のほぼ中央、房総半島を横切るような形の場所だ。芸術祭の主役はもちろんアートだけれど「アート×ミックス」とあるのがミソ。アートと食、音楽、芝居、ダンスなどさまざまなものがミックスされて楽しみが倍増する。

中でも準主役級の活躍を見せるのが「小湊鐵道」だ。1925年開業、単線で2〜3両編成の車両が18の駅を行き来する。無人駅も多いが、国の登録有形文化財となっている開業当時の姿を残す木造の駅舎群も見逃せない。

●貴重な蒸気機関車にアートがからむ〈五井機関区〉

アレクサンドル・ポノマリョフ《永久機関》が設置されたのは、「小湊鐵道」の整備場。右側に見える2本の透明なパイプの中を、水と一緒に赤いオブジェが上下する。水は”永久機関”のように循環する。
アレクサンドル・ポノマリョフ《Question of Evolution -進化の問題-》。人類が蒸気機関など、さまざまな”力”を手に入れていった過程を暗示する。〈五井機関区〉に保存されている蒸気機関車は千葉県指定文化財。アメリカやイギリスから輸入され、1950年代まで使われていた。
〈五井機関区に保存されている「キハ5800形気動車」は市原市指定文化財。内部にウクライナの作家、ザンナ・カダイロバの写真とインスタレーションによる、ウクライナの夜をもたらす作品が設置されている。土日のみ公開。
そんな旅心満載の芸術祭でのアート・トリップは〈五井機関区〉から始めるのがおすすめだ。たくさんの機械や工具類が並ぶ建物の中で、アーティストが”心臓”と呼ぶ赤いオブジェが上下運動を続けている。作者はロシアのアレクサンドル・ポノマリョフ。作品には《永久機関》というタイトルがついている。ここは現役で車両の整備のために使われている場所だ。鍛冶屋場もあり、補修などが自前で行える体制になっている。ポノマリョフはその”職人魂”にも感銘を受け、この作品を作った。彼はここに保存されている蒸気機関車展示を舞台にしたインスタレーションも制作している。
アデル・アブデスメッド《Play it Again》。〈五井駅〉のホームに浮かぶピアノ。開場時間内には自動演奏が流れる。曲は映画『カサブランカ』(1942年)中の有名な一曲だ。
JR東日本の内房線と小湊鐵道が乗り入れている〈五井駅〉に、〈五井機関区〉は隣接。小湊鐵道は〈五井駅〉が起点だ。

●駅舎に西野達のホテルが登場!〈上総久保駅〉

【上総久保駅】西野達《上総久保駅ホテル》。ファンシーな壁紙に囲まれて、いい夢が見られそう。
《上総久保駅ホテル》駅舎越しの眺め。ホームまで徒歩0分の便利な立地だ。
《上総久保駅ホテル》はこの看板が目印。
ホームから見た《上総久保駅ホテル》。中央の黒い箱が客室だ。
旅といえば列車にホテル。というわけで〈上総久保駅〉にはホテルが出現した。といってももちろん普通のホテルではない。バス、トイレがついた客室があるのは駅のホーム、駅舎に続くスペースだ。作者はアーティストの西野達。もちろん中に入ることもできる。ダブルベッドが置かれた客室は線路に向かって全面がガラス張りになっていて、外の景色がよく見える。普段は電車を待つ間だけ滞在する駅のホームが、田園風景や電車をじっくり眺める特別な場所になる。
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