ゴッホ展:ファン・ゴッホがたどった土地を旅したことを思い出した。|鈴木芳雄の「本と展覧会」 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ゴッホ展:ファン・ゴッホがたどった土地を旅したことを思い出した。|鈴木芳雄の「本と展覧会」

ファン・ゴッホの夜の糸杉の絵や黄色い家の絵が日本に来ていて、展覧会が開催されている。東京、名古屋、福岡と巡回するその展覧会を見ていて、10年前、雑誌の取材で行ったファン・ゴッホゆかりの土地と美術館のことを僕は思い出していた。彼が見たもの、希望を抱いたこと、挫折し、落胆した場所。作品はそれを語りかけてくる。

フィンセント・ファン・ゴッホ 《花咲くマロニエの木》 1890年5月22-23日 油彩、カンヴァス 63.3×49.8cm クレラー=ミュラー美術館蔵 
19世紀後半に生きた一人の画家。たった37年の人生、しかも本格的な画家としての活動期間は10年ちょっとに過ぎない。しかし、多くの作品とあまりに懊悩にあふれるストーリーをもつ。フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホという人。

日本でも彼の絵はたいへんに人気がある。大規模個展は何年かに一度、開催されるくらいに。今も彼の絵の最大の個人コレクター、ヘレーネ・クレラー=ミュラーに焦点を当てた展覧会『ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』が日本を巡回している。
フィンセント・ファン・ゴッホ《レモンの籠と瓶》 1888年5月 油彩、カンヴァス 53.9×64.3cm クレラー=ミュラー美術館蔵
フィンセント・ファン・ゴッホ《麦わら帽子のある静物》 1881年11月後半-12月半ば 油彩、カンヴァスに貼った紙 36.5×53.6cm クレラー=ミュラー美術館蔵
この展覧会を見ながら、僕は10年ほど前に雑誌『ブルータス』の「印象派特集」のために、ファン・ゴッホの人生をたどった旅を思い出していた。彼のゆかりの地を巡った。アムステルダムの〈ファン・ゴッホ美術館〉、オッテルローの〈クレラー=ミュラー美術館〉をまず訪れて、そのあと、空路でマルセイユ、そこからクルマでアルルとサン=レミ。パリに戻って、オーヴェル=シュル=オワーズへ。本稿はその旅の思い出も絡めながら書いていく。
〈クレラー=ミュラー美術館〉外観。 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
〈クレラー=ミュラー美術館〉には実はこのとき初めて行った。収集家クレラー=ミュラー夫妻に敬意を評して彼らの名を冠しているが、オランダ国立の美術館である。デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園内にあり、すばらしい環境だ。アムステルダムからは鉄道とバスで1時間ちょっとかかる。今回の日本の展覧会では、この美術館からファン・ゴッホの油彩画28点と素描・版画20点が来日している。
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