ART
安藤忠雄からトーマス・デマンド、ライアン・ガンダーまで。大林コレクションで建築・写真・アートを堪能する。
October 23, 2021 | Art, Architecture | casabrutus.com | photo_Takuya Neda text_Akio Mitomi editor_Keiko Kusano
大林財団理事長で「あいち2022」組織委員会会長も務める、大林剛郎のコレクションを紹介する『大林コレクション展』が東京・天王洲で公開されている。安藤忠雄の平面作品に着目した「安藤忠雄 描く」、写真家がさまざまな視点で都市を捉えた「都市と私のあいだ」、40点以上の現代アート作品からなる「Self-History」の3テーマを通して、国内有数の個人コレクションに迫ることができる。
大林剛郎は、安藤忠雄設計のプライベートミュージアム〈游庵〉に、オラファー・エリアソンをはじめとする多数の現代アーティストによるコミッションワークを所蔵することでも知られる、当代屈指のアートコレクター。現在開催中の『大林コレクション展』は3つのテーマで構成され、その最初が「安藤忠雄 描く」。和紙にペンと色鉛筆で描かれたスケッチや、未完のプロジェクトのシルクスクリーンなどの平面作品を展示している。観客を出迎えるグザヴィエ・ヴェイヤンによる安藤の立像や、長さ10mにおよぶドローイングは展覧会を訪れてのお楽しみだ。
次のテーマ「都市と私のあいだ」は、都市とアーティストや観客の間に存在するさまざまな要素を被写体とした写真作品が中心。住宅展示場を経て取り壊された〈大阪スタヂアム〉の変遷をとらえた畠山直哉や、〈バラガン邸〉で時間の経過を記録したルイザ・ランブリなどの作品を通じて、カメラを通して表現された都市のイメージを体感できる。
『大林コレクション展』最後のテーマ「Self-History」では、ライアン・ガンダー、トーマス・デマンド、ドナルド・ジャッドなど約40組の作品を一挙に展示。
「今回展示する約40点の作品は、約850点前後を数える全コレクションの現在形を示すと同時に、その歴史も内包しています。コレクションの『前史』とも言える父の収集品に始まり、本格的に収集を始めた1990年代末以降の作品、そして比較的最近コレクションに加わったものまで、多岐に渡っています。また美術史的には、1990年代以降の作家を中心に、それらに影響を与えた1960〜70年代の作家も含む構成になっています。今回の展覧会は、現代美術の表現形態の多様な広がりを示すと同時に、ひとりのコレクターの変遷の記録でもあります」と、大林はコメントを寄せている。
「今回展示する約40点の作品は、約850点前後を数える全コレクションの現在形を示すと同時に、その歴史も内包しています。コレクションの『前史』とも言える父の収集品に始まり、本格的に収集を始めた1990年代末以降の作品、そして比較的最近コレクションに加わったものまで、多岐に渡っています。また美術史的には、1990年代以降の作家を中心に、それらに影響を与えた1960〜70年代の作家も含む構成になっています。今回の展覧会は、現代美術の表現形態の多様な広がりを示すと同時に、ひとりのコレクターの変遷の記録でもあります」と、大林はコメントを寄せている。
本展は同時代の建築家や写真家、アーティストと交流を深めながら審美眼を育て、コレクターとして成長してきた大林のパーソナリティまで伺える、興味深い3テーマ構成の展示だ。2017年に〈東京オペラシティ アートギャラリー〉で開催された『片山正通的百科全書』もそうだったが、同時代のアーティストとコレクターと鑑賞者、三者の美に対する意識や嗜好が交錯する展示には、「いま」を共有する者同士のダイナミックな関係性が感じられるのではないだろうか。
『大林コレクション展「安藤忠雄 描く」「都市と私のあいだ」「Self-History」』
〈WHAT MUSEUM〉東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号。〜2022年2月13日。11時〜18時。月曜(祝日の場合は翌火曜休)、年末年始休。1200円。