クリスト&ジャンヌ=クロードのパリ凱旋門ラッピングがついに実現! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

クリスト&ジャンヌ=クロードのパリ凱旋門ラッピングがついに実現!

モニュメントや自然を「梱包」する作品で知られたアーティストの遺志を継ぎ、構想から60年を経てパリの名所が包まれた。16日間だけの貴重なプロジェクトが始まっている。

オープニング初日、エトワール広場は車両通行止めになり歩行者に開放された。
爽やかな秋の空のもと、小高いエトワール広場の中心に堂々とそびえる凱旋門。広場から放射状に伸びる、シャンゼリゼ大通りなど12本の通りどこからも望める、絵葉書のようなパリのランドマークだ。その凱旋門が、形こそ保ちながら、全くの別物に忽然と変身した。2021年9月18日から10月3日までの16日間、クリスト&ジャンヌ=クロードの作品として、シルバーブルーの布で「梱包」されているのだ。

昨年実施される予定がパンデミックにより延期となり、さらに2020年5月にはクリスト自身が亡くなるという不幸に見舞われたが、それでも計画は消えなかった。1年遅れて今年7月から、石の彫刻をメタル製の枠組みでカバーするなどの作業が始まった。

本格的にラッピングがスタートしたのは、9月12日のこと。凱旋門の上から1日がかりで、ロールに巻かれた布が解かれて垂らされていった。
石の彫刻は、布と直接触れて損傷することのないように、あらかじめスチールのフレームをかけて保護されている。
凱旋門の上からロープにつながれた作業員たちが手足を使って布を解く様は、スペクタクル要素たっぷり。
凱旋門の内側の、十字形の開口部分に沿って、オートクチュールのドレスのように丁寧にカットされた布のドレープ。真下から見上げると神殿のような荘厳さだ。
シャンゼリゼ側の6本の布ロールが徐々に降ろされる。中央の2本のロールは、あらかじめアーチの形に布がカットされていた。
難航する正面右端の布ロールの作業を見守る見物者たち。
梱包に使われたのは合計25,000㎡の布と3,000mの赤いロープ。布はポリプロピレン製で100%リサイクル可能なブルーの織地の片面にアルミが吹き付けられている。

シャンゼリゼ側とその真後ろの、広い側面には6本のロールが、左右の側面には3本のロールが、高所作業員によって、少しずつほどかれ降ろされていくさまはアクロバットのようなスペクタクル感にあふれており、設営作業自体がこのインスタレーションの大事な見どころだということを痛感させられた。

地上からは小さな兵隊の人形のように見える作業員たちは、クライマーとしての訓練を積み、普段は高層ビルや風力発電所など高所で作業する専門家ばかり、95人のチームだったという。
9月16日、ラッピング仕上げの様子。高所作業員がロープの位置や布のつなぎ目の調整をしているさまは、まるで雪山登山のよう。
凱旋門の屋上での作業。正面奥はシャンゼリゼ通り。作業員はクライマーとしての訓練を積んだ、高所作業専門のフランス企業JADE社のメンバーだ。
高所に慣れた作業員にとっても、「今までで最高の見晴らし」とのこと。
作品全体を結んだ赤いロープも布と同様、100%リサイクル可能なポリプロピレン素材。
クレーンや高所作業車を使った最後の調整を見守る人々。
2020年春、ドイツのリュベックにあるGEO社の縫製工場にてファブリックは製作された。Photo: Wolfgang Volz © 2020 Christo and Jeanne-Claude Foundation
数日間かかって隙間なくドレープが整えられ、赤いロープが交差するように巻かれて、予定通り9月18日朝オープニングを迎えた。

クリスト&ジャンヌ=クロードの作品がこれまでもそうであったように、誰もが無料で、自由に凱旋門の足元まで歩いて行って作品に触れることができる。

メタル感のあるファブリックは、1日の時間帯によって、日光や夜間照明を受けて刻々と色合いを変えながら、ドレープの陰影が立体的に輝く。すべてが、その瞬間にしかない刹那の美だ。
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