アーティスト・金氏徹平の新しい3つの顔|青野尚子の今週末見るべきアート | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

アーティスト・金氏徹平の新しい3つの顔|青野尚子の今週末見るべきアート

身近な日用品を変容させたオブジェや演劇とのコラボレーションで知られるアーティスト、金氏徹平。都内3カ所での展覧会で、彼の新しい顔を見ることができます。他者との対話や新しい技法から彼が生み出したものは?

〈GYRE GALLERY〉での『村田沙耶香のユートピア 正常の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー≡金氏徹平』展示風景。
8月20日から都内2つのギャラリーで始まった金氏徹平のグループ展と個展。グループ展のほうは村田沙耶香、デヴィッド・シュリグリーが参加して表参道の〈GYRE GALLERY〉で開かれている『村田沙耶香のユートピア 正常の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー≡金氏徹平』と題されたものだ。

村田沙耶香は『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した作家であり、金氏は同書のカバーに作品を提供している。シュリグリーは〈水戸芸術館〉で個展を開催したこともあるイギリスのアーティスト。今回、村田の著書の英訳を読んだ彼はさっそく30点もの新作ドローイングを制作、会場にはそのうち15点が展示されている。村田の本を軸に三者の対話が生まれた。
デヴィッド・シュリグリーのドローイングは村田沙耶香の『コンビニ人間』からインスピレーションを得たもの。このバイブレーションは面白そう、ということで1ヶ月の間に30点が描かれた。
同展には村田沙耶香が学生時代に描いた油彩画やコラージュも。村田の持つ意外な顔に驚かされる。《untitled》(1995-1997年)学生時代の作品
金氏徹平のオブジェ。『コンビニ人間』の中の、コンビニで働いている時だけ「世界の正常な部品になれる」と感じる主人公の心情も思わせる。
会場には人体骨格模型と機械かおもちゃの部品を組み合わせたオブジェや、日用品を組み合わせて白い塗料をかけた金氏の作品が並ぶ。壁に空いた穴からひもやバットを握った手が飛び出しているように見えるものも。壁に唐突に現れるテキストは村田の著書からの抜粋だ。ときに字が反転していたりして、謎めいた余韻を残す。村田が学生時代に手がけた油彩画も並んでいる。
壁のドローイングはシュリグリー、手前のオブジェは金氏徹平によるもの。絵画と立体の間に奇妙な会話が交わされる。
壁には村田沙耶香の小説からとられたフレーズが書かれている。
〈GYRE GALLERY〉の壁にあいた穴からいろいろなものが出ているように見える。金氏徹平がリコーの新技術を使って制作した作品。
金氏徹平《White Discharge(Built-up Objects)#48》(2019年)。日用品などを積み上げたオブジェに白い塗料をかけたもの。見なれた景色が溶けていくような感覚に襲われる。 《White Discharge (Built-up Objects) #48》, 2019 Copyright Teppei Kaneuji. Courtesy of the artists and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo Photo : 西村雄介
〈GYRE〉の中央吹き抜け部分にも、村田沙耶香のテキストによる金氏のオブジェが。
『村田沙耶香のユートピア 正常の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー≡金氏徹平』
〈GYRE GALLERY〉東京都渋谷区神宮前5-10-1。2021年8月17日〜10月17日。11時〜20時。
公式サイト
もう一つの会場である銀座の〈リコーアートギャラリー〉での個展『S.F. (Splash and Fragments)』では、リコーの新技術を使った「StareReap」(ステアリープ)というプロジェクトによる金氏の作品が展示されている。一眼レフカメラや赤外線カメラによる精密な3Dスキャン、それから制作した3Dデータ、23μm(ミクロン)の単位で立体再現できるインクジェット、立体へのプリントに特化したインクなどによって、平面と立体の間にあるものを具現化できる。
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