陶芸家と建築家の2つの顔を持つ奈良祐希が、数寄屋風建築〈佳水園〉でコラボ&新作披露。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS
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「箕甲」と呼ばれる伝統的な収まりを用いて軒を薄く見せる、シャープで軽やかな切妻屋根が重なる〈佳水園〉。その軒下に置くことで親和性を持つ奈良の作品を際立たせている。会場構成も奈良自身によるもの。
金沢に350年続く茶陶、大樋焼・11代大樋長左衛門を父に持つ奈良祐希。ところが世襲制をものともせず、高校時代に目にした〈金沢21世紀美術館〉に建築の持つ社会への影響力を感じ、建築の世界へと進む。東京藝術大学で建築を学ぶものの、優れた陶芸の作品に触れ、「同じ土という素材であっても、自分が思っているとはまったく違う、陶芸の未来があるのかもしれない」と感じて多治見市陶磁器意匠研究所へ入所。陶芸を学んだ後に再び建築の世界へと戻り、東京藝術大学大学院を首席で卒業するというユニークな経歴の持ち主だ。
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〈ウェスティン都ホテル京都〉内にある〈佳水園〉は、村野藤吾の設計により1959年に完成した現代数寄屋造り建築。2020年に建築家・中村拓志によりリニューアルが行われた。
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「単なる白の展示台ではノイズになってしまう」と、作品は〈佳水園〉へのリスペクトを込めて製作したガラスの台に置かれている。作品が宙に浮かぶような浮揚感もまた、軽やかさを印象付ける。軒下に展示できるのも、千度以上という高温をくぐり抜けてきた陶芸作品だからこそ。耐久性に対しても建築に共通する部分があるという。
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室内からもその表情を手に取るように見ることができる、外に置かれた作品。
「自分のオリジナリティやバックボーンから、陶芸を考えるというのが最初の課題。建築的な技法が陶芸の伝統的な技法と出合い、新しい未来を考えるイメージはあって、そこから建築から陶芸を見つめるアプローチへの挑戦が始まりました」

処女作として発表した「Bone Flower」シリーズは、建築CADのテクノロジーと陶芸の伝統的な技法を融合した作品。板状の白磁が層となって組み立てられ、立体を形作る。そこには内と外との境界の曖昧さ、光と陰によりもたらされる表情の変化が備わっている。

「僕が作品を作るにあたり、とても大事にしていることが3つあります。曖昧な境界、シャープネス。そして繊細さ、これは言い換えれば軽さとも。それらは日本建築が体現していることでもあり、強みや輝きでもある」

そんな奈良にとって、日本モダニズム建築を代表する名建築〈佳水園〉での個展を開く機会を得たのは、願ってもないことだったという。

「日本建築、ないしは数寄屋建築が西洋建築と違うのは、内と外がニュートラルであること。西洋建築は厚い壁で内と外がきっちり区切られている一方で、日本建築は広い軒があり、縁側がある。それは陶芸に置き換えて考えることもできて、土というのは素材のしがらみでどうしても重い存在になる。それをレイヤー状に組むことで軽やかさを持ち、光と影を取り込んでいます。そもそもの発想は日本建築にある作品を、〈佳水園〉のバッファー空間に置くことで作品の精神性やフィロソフィーを体現できるんじゃないかと」
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シャープさと軽やかさを持つ「Bone Flower」シリーズ。土器のモチーフは、建築は最先端技術の影響を受け完成すること、縄文土器や弥生土器はそれぞれ当時の最新技術を取り入れて作られたことなどへ思いを巡らせるうち完成した。
今回の個展のタイトルは調和、掛け合いを意味する「ENSEMBLE」と名付けられた。「個展であっても、その土地土地の方々とのコラボレーションを取り入れたら、おもしろいものになるのではと考えました」と奈良。そこでタッグを組んだのが西陣織の老舗〈細尾〉12代目の細尾真孝と、京都にゆかりも深いいけばな小原流五世家元・小原宏貴だ。
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