羽田空港にMoMAシニアキュレーター、パオラ・アントネッリが企画したサウンドアートが出現中! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

羽田空港にMoMAシニアキュレーター、パオラ・アントネッリが企画したサウンドアートが出現中!

文化庁による日本文化発信プロジェクト「CULTURE GATE to JAPAN」。その一環として、羽田空港と成田空港に“VISION GATE”をテーマとしたアートが設置された。キュレーションはMoMAシニアキュレーター、パオラ・アントネッリです。

アーティストのスズキユウリと細井美裕、そしてキュレーターのパオラ・アントネッリによる協業から生まれた作品《Crowd Cloud》。2021年9月頃まで羽田空港第2ターミナル出発フロアに展示される予定だ。 photo_Takashi Kawashima
空港を舞台に、日本の文化を発信する文化庁主導のプロジェクト「CULTURE GATE to JAPAN」。北海道の新千歳空港から、沖縄の那覇空港まで繰り広げられる企画だが、中でも注目は羽田空港と成田国際空港。

この2つの空港では、〈ニューヨーク近代美術館〉(MoMA)建築・デザイン部門のシニアキュレーター、パオラ・アントネッリを迎えたアートプロジェクトが展開されている。パオラはヴェネチア・ビエンナーレなどでも活躍してきた敏腕キュレーター。彼女が独自に掲げた「VISION GATE」というテーマに沿って、アーティスト8名が選出された。

羽田空港第2ターミナル出発フロアに設置されたのは、サウンドアーティストでありエクスペリエンスデザイナーのスズキユウリと、同じくサウンドアーティストの細井美裕による作品《Crowd Cloud》。細井は「第23回文化庁メディア芸術祭」でアート部門の新人賞を受賞したボイスプレイヤーで、世界的にも注目されている若手だ。

パオラはニューヨーク、スズキはロンドン、細井は東京という状況下で、すべてがオンラインのやりとりで制作された。
インスタレーションのホーンから、細井の声をアレンジした繊細な音が流れる。 photo_Takashi Kawashima
68本のホーンが奏でるのは、繊細ながら奥行きのある音のハーモニー。作品の前に立つと、空港にいることを忘れさせるような、神秘的な時間が流れる。

音の正体は、細井の声で録音された日本語。日本語といっても単語ではなく、「あいうえお」といった五十音や濁音で、それぞれ発音秒数を短・中・長の3パターン録音し、計7000ファイル近い音声をプログラミングで構築して流している。そのアルゴリズムは刻々と変わるそうで、今まさに音が生まれているといったある種のライヴ感も漂っている。

パオラ曰く「見知らぬ国に行った時、そのことを強く実感させてくれるのが音」。だからこそ、今回はサウンドアートを核としたかったという。日本語は母音や子音が個別で使われることのない、世界に類のない言葉。その音の美しさは、私たち日本人にとっても新鮮だ。
ホーンは、真鍮吹き付け、真鍮黒塗り、真鍮メッキの3種類に塗り分けられている。仏具の産地として知られる、富山県高岡市の伝統技術が生かされている。
美術館のように無音ではないので、空港の音響との兼ね合いも重要に。作品から流れる音の大きさ、空港アナウンスと重なった時に心地よく聞こえる音階などを現場で探った。 photo_Takashi Kawashima
細井による音を視覚化したのがスズキ。彼の作品のシンボルでもあるホーンを用いながら、日本の伝統工芸も用いて制作した。例えば、ホーンの金属加工を手がけたのは、富山県高岡市の佐野政製作所。真鍮の吹き付けは同じく高岡市の杉本美装で、この土地に根付く銅器製造の技術が注ぎ込まれている。

この他に、羽田空港国際線到着コンコース及び成田空港大型サイネージでは、6組のアーティストによる映像作品が流れている。金継ぎと環境問題を掛け合わせたクリエイティブ集団・PARTYの映像作品《TSUGI》や、フォトグラファーの茂木モニカが日本の風景への愛と日本女性への憧れを表現した《満月の日》、『古事記』をテーマとした現代美術家・森万里子による《Kojiki – Amenomanai》など、それぞれ1分の映像が通路上のサイネージに映し出される。
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