清川あさみさん、ヴァーチャルモデル〈imma〉って誰ですか? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

清川あさみさん、ヴァーチャルモデル〈imma〉って誰ですか?

糸という素材と向き合い、人間の本質を紡ぎ出すような作品を発表し続けているアーティスト清川あさみ。現在開催中の新作個展『imma』では、ヴァーチャルモデルの〈imma〉とコラボレーション。インスタのフォロワーが25万人を越え、世界が注目する〈imma〉の魅力を聞いた。

作品《imma(identity)》の前でツーショット。まるで双子!? という声も多く寄せられるほど、よく似た清川あさみ(左)とヴァーチャルモデル〈imma〉。 hairmake_Risa(清川あさみ) photo_Masayuki Ichinose
―まずは、immaとの出会いを教えてください。

清川 日頃から、面白い人いないかな? って、インスタグラムやSNSをチェックしているんですが、「この子可愛い!」って2018年くらいにたまたま見つけたのが〈imma〉ちゃんだったんです。だから最初はヴァーチャルだと全然気づいていなくて(笑)。でも、何ともいえない不思議さ、不気味さみたいなものは感じていて、その曖昧な存在がすごくひっかかったのだと思います。完全にCGだって気づいたのは、「#あたしCGらしい」っていうハッシュタグ。あの「らしい」って言葉がすごくいいですよね。空想、妄想、日本人がめっちゃ好きなものを端的に表した最高のハッシュタグだと思います。逆に〈imma〉ちゃんがリアルな人間だったら、ただ“可愛い”で終わっていて、ここまで興味がわかなかったと思います。
東京の夜の街を浮遊する《imma(clone)》(2020年、ミクストメディア)、〈imma〉本人とともに。 photo_Masayuki Ichinose
―そこから今回のコラボレーションがスタートしたのですか。

清川 オリンピックに向けた時期に個展をすることがあらかじめ決まっていて、バーチャルをモチーフにするような作品を作りたいと思っていたんです。自分の中で、AIや人間が作ったものではないものに感動することが多くなっているな、と感じていて。そのタイミングで〈imma〉ちゃんに出会ったので、自分の中ですごくリンクするものがあったんです。彼女は、すでに渋谷のスクランブル交差点で大きなビルボードになっていたり、ファッションアイコンとして出てきそうな予感がすごかった。ピンときて、すぐに彼女の関係者に連絡を取りました。

―社会で活躍する女性の本質を捉える『美女採集』シリーズや、ファッションスナップをモチーフとした『TOKYO MONSTER』シリーズなど、清川さんといえば、人間の本質をえぐるような作品を発表し続けています。

清川 そうですね。これまで『美女採集』では、人間の本質を探りながら、その人の歴史を動植物というカタチで表現してきました。そのためにインスタグラムやSNSでの佇まいや映像をみて、その人の本質を見抜くことが多かったんですが、〈imma〉ちゃんには、そもそも人間的な本質、生きてきた歴史がない! 彼女は、年齢も何もかもがミステリアス。リアルとヴァーチャル、その狭間にいる〈imma〉という存在自体が、時代を象徴している。技術の進化によって出てきた、この生き物はなんだ!? みたいな。新しいアイドルというか、キャラクターというか、人間というか……。

インスタグラムというメディアから本質を捉えられる一方で、実は何の情報も掴みきれない。嘘と本当が入り混じっていて、実は本当のことなんてどこにもないかもしれないという曖昧さ、危うさもある。急進的な技術進化と共に生まれた〈imma〉にとって、リアルワールドに居場所がないことこそが彼女の存在価値。そういう奇妙な存在感を作品にしたいと思いました。
Immaと猿神を共存させた《imma(monster)》(2020年、ミクストメディア)。
人間とヴァーチャルヒューマンのロマンスを表現した《imma(romance)》(2020年、ミクストメディア)。
―実際の作品づくりはどのように進められたのですか?

清川 生き様がない人物を作品にするのは初めての試みだったので、すごくむずしかったですね。なので、彼女の内面を引き出して採集するのではなく、自分で設定を作り、外側からテーマとシチュエーションを与えて作品化することにしたんです。〈imma〉ちゃんで新しい神話を作るというイメージ。彼女が偶像化されるような危うさを感じるので、〈imma〉という虚構がひとり歩きしていく感じが面白いかな、と。

〈imma〉ちゃんはファッションブランドとのタイアップなどで日頃からいろんな洋服を着ていますし、とにかくシンプルに彼女の魅力を表現したかった。だから本当はヌードがよかったのですが、さすがにNGで(苦笑)。あえてファッション性は抑えて、洋服はオートクチュールで衣装デザイナーさんに作ってもらいました。

そうして撮影した写真をアルゴリズムとプログラミングで解析して線を導き出してもらい、その線をひたすら手刺繍でなぞるという作業。進化し続ける技術やバーチャルの世界と、人間の不安定さ、不規則さを表現するために、あえて手刺繍にすることで、よりその境界線が曖昧になっているのだと思います。

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます