作品を鑑賞「させない」彫刻庭園がオープン! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

作品を鑑賞「させない」彫刻庭園がオープン!

『カーサ ブルータス』2020年4月号より

安藤忠雄がメキシコで設計したアートセンターの庭園では、彫刻作品がすべて土中に埋められている!?

上から見た〈カーサ・ワビ〉。点線で囲んだ場所に、彫刻が埋もれている。庭園の向かいには、太平洋の絶景が広がる。photo_Sergio López
〈地中彫刻庭園〉上の小道に立つロリス・グレオー。photo_Loris Gréaud
その名も〈地中彫刻庭園〉。地下に降りると、彫刻の数々に出会うことができる……のではなく、作品はすべて土中に埋めてある!? ここオアハカまで運ばれてきた彫刻は、およそ20体。来場者はこれらを見ることはできないが、埋められた地面の「上」で作品を想像して思いを馳せる、というなんとも奇妙な庭園なのだ。

このコンセプチュアルな庭園プロジェクトを手がけたのは、アーティストのロリス・グレオー。母国フランスをはじめ世界で活躍する彫刻家にして、映像作家だ。舞台となるのは〈カーサ・ワビ〉。アーティストのボスコ・ソディが設立したアートセンター&住居であり、建築を手がけたのは、われらが安藤忠雄である。

グレオーは、敷地の地中深くに掘った穴に、これまで制作した作品群から選り抜いた20体を埋め、上から土をかぶせて「永遠に」埋没した。どの作品なのかも、一切口外しない。作品の真上には小道が通り、訪れた人は散歩しながら作品を想像する。なお来年2月には、庭園のオープン日を記したベンチが設置予定。草木が伸び緑で覆われても目印になるように、というわけだ。目に見えないが、そこにある。いわば訪れる人々の想像の中で無限の存在感を放つ、奇妙な「彫刻庭園」を訪れてみたい。
グレオーは2012~17年にかけてパリやNY、ダラスやヴェネチアで『The Unplayed Notes』というシリーズを発表。このうちのどれかが埋まっているかも?

ロリス・グレオー

フランス出身。彫刻の他に映像にも高い評価が。2017年の『Sculpt』はウィレム・デフォーやシャーロット・ランプリングが怪優ぶりを発揮した猟奇的なノワール前衛映画。

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます