ボルタンスキー、35年ぶりのポンピドゥー・センターでの個展。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ボルタンスキー、35年ぶりのポンピドゥー・センターでの個展。

近年、日本各地で回顧展を催したフランス人アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー。ポンピドゥーセンターが初個展を開いてから35年、ボルタンスキー展が再びパリに。その「時」の意味を、思考を、作家自身による会場構成と50点あまりの作品が静かに物語る。

《ミステリオス》2017年。 (c) Christian Boltanski (c) Adagp, Paris, 2019
1984年、パリのポンピドゥーセンターでクリスチャン・ボルタンスキー展が開催された。80年代半ばといえば、それまで自己や他者の写真やオブジェをモチーフに展開していたボルタンスキーの「記憶」のアートが、次なる段階へ変化を始めた頃だ。「存在、不在」というテーマを浮かび上がらせた個々のアーカイヴというモチーフを捨て、大規模なインスタレーションや装置を使い、死にまつわる暗闇と瞑想のレッスンの作品など、以前からのテーマをさらに深め続けた。それから35年。自身の時を作る、時間をかける、使う、と捉えようによって多彩な意味を持つ言葉をタイトルに冠した本展覧会『Faire son temps/フェール・ソン・タン』は、ボルタンスキーの半世紀に渡る創作を通して、作家自身の〈フェール・ソン・タン〉に迫る。
《アニミタス・チリ》2014年。 (c) Francisco, Rios Anderson (c) Adagp, Paris, 2019
《C.B.のラ・ヴィ・アンポシーブル》2001年。 (c) Philippe Migeat/Dist. RMN-GP (c) Adagp, Paris, 2019
《モニュメント》1985年。 (c) David Huguenin (c) Adagp, Paris, 2019
独学で描き始めた1960年代の絵画に始まり、自身や他者の写真、あらゆるオブジェによって過去の記憶を再構築する作品群。様々な装置を使い作品空間に身を置く閲覧者の体感を促す劇場型のインスタレーション。さらに舞台を広げ、公共空間や人里離れた砂漠や海岸でのインスタレーションが続く。こうした作家の行為と事実が、いつの日か未来における記憶になる日を視野に、境界を超える「存在、不在」、過去も未来をも含む「記憶」へ、変容する作品世界の時間と空間の旅に、閲覧者を誘う。

半世紀に及ぶボルタンスキーの創作から、作家自身が選び、配置した50余りの作品が2000m2の広大な展示空間を構成する。作品《départ/出発》に始まり《arrivée/到着》に終わる展示空間そのものが、ひとつの作品と言えるのかもしれない。ポンピドゥーセンター館長、ベルナール・ブリステーヌは言う。「その内部に浸る体験が、旅と目的地を忘れる手助けになると、閲覧者に気づかせるでしょう。この展示を巡る時間が、それぞれの「フェール・ソン・タン」=どのように自分の時間を生きるかは自分次第なのだと示唆するのです」
《楕円の部屋》1967年。ポンピドゥーセンターが1968年に購入したボルタンスキーの初期作品。アクリルペインティング。 Photo (c) Adam Rzepka / Dist. RMN-GP (c) Adagp, Paris, 2019
《影の劇場》1984~1997年。床に置かれたダンボール製のモバイル人形にプロジェクターで光を当てることで浮かび出す影絵。プロジェクションのサイズは可変する。 Photo (c) André Morain (c) Adagp, Paris, 2019
《心臓》2005年。録音された心臓音のリズムにより電球が点滅するインスタレーション。2006年ドイツのマチルデンヘーエ・ダルムシュタット学院でのインスタレーション。 Courtesy Christian Boltanski Photo (c) Wolfgang Günzel (c) Adagp, Paris, 2019
《ミステリオス》2017年。エルサレムのイスラエル美術館での展覧会『ボルタンスキー Lifetime』での3つのスクリーンによる12時間のビデオインスタレーション。  (c) Adagp, Paris, 2019

『クリスチャン・ボルタンスキー Faire son temps展』

〈ポンピドゥーセンター〉
Centre Pompidou Place Georges Pompidou 75004 Paris。2019年11月13日~2020年3月16日。11時~21時(木~23時)。火曜休み。入館料/14ユーロ。

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