〈RCRアーキテクツ〉の個展が開催中、夢の「ラ・ヴィラ」とは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

〈RCRアーキテクツ〉の個展が開催中、夢の「ラ・ヴィラ」とは?

2017年にプリツカー賞を受賞し、一躍時の人となった〈RCRアーキテクツ〉。それまでは知る人ぞ知る存在だったけれど、独特の詩的な建築にみんな惹きつけられてしまいました。〈TOTOギャラリー・間〉で開かれている個展では、模型だけでなく絵や不思議な曼荼羅のようなものが並びます。彼らが何を作ろうとしているのか、来日したカルマ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタに聞きました。

〈ラ・ヴィラ〉の予定地。中央に見える小屋や山が、「共有された創造性」を育む。
photo_Hisao Suzuki
〈RCRアーキテクツ〉は1988年にラファエル・アランダ、カルマ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタの3人で設立した建築スタジオ。1960年代生まれの3人は建築バブルだったバルセロナで学ぶが、同級生の多くがそのままバルセロナでキャリアをスタートさせる中、バルセロナから150kmほど離れた、故郷であるカタルーニャ地方のオロットという村に根を下ろして活動を続けてきた。
ヴァールゼ・クローク・メディアテーク(2017年)ベルギー、ゲント photo_Hisao Suzuki
現在は設計を行う〈RCRアーキテクツ〉のほか、リサーチや研究を行う〈RCR Lab・A〉、建築だけでなく芸術と文化に関する認識を向上させる〈RCR BUNKA財団〉(日本の「文化」からとった)を設立、連携しながらプロジェクトを進めている。
〈RCRアーキテクツ〉、〈RCR Lab・A〉、〈RCR BUNKA財団〉がそれぞれ連携ししていることを示す模式図。
今回の展示の中心は彼らが今取り組んでいる「ラ・ヴィラ」というプロジェクト。〈RCRアーキテクツ〉の拠点、オロット近くで進めているものだ。こんもりとした森のある山があり、その間を川が流れている。かつて農作業や酪農に使われていたが今は空いている小屋があり、夏には濃い緑に覆われ、ときに霧が漂う。この140ヘクタールという広大なエリアを「建築だけでなく、あらゆる種類のクリエイティビティを共有し、実験を行う場」にしていくのだという。世界中から建築家やデザイナー、アーティスト、研究者、農業従事者、その他いろいろな人々が訪れて一定の時間を過ごして交流し、ともに何かを作り出していくような場だ。豊かな森が新鮮なアイデアへの後押しをしてくれる。
「ラ・ヴィラ」についてのドローイング。これもRCRアーキテクツが全員で描いたものだ。
このプロジェクトのきっかけは10数年前に、この土地のオーナーに頼まれて池をデザインしたことだった。直線で構成された控えめで愛らしい池は山の緑を映し、動物たちの憩いの場となる。〈RCRアーキテクツ〉の思想に共鳴したオーナーは土地を譲り、「ラ・ヴィラ」がスタートした。

「私たちはこの場所を、単に建築を建てるための敷地だとは考えていません」と〈RCRアーキテクツ〉のメンバーは言う。

「ここの自然を守り、そのポテンシャルを活かしたい。建築自体が目的ではなく、建てながら学んでいくこと、大きな意味での人生を考えること、いろいろな人と生きることそのものが実験となるような場所を目指しています。また既にあるものを大切に守って、良いところを残していきたい。既存の建物群も、皆で協働するための研究、設計施設などとして改修していく予定です」