ARCHITECTURE
せんだいメディアテークの透明な建築の秘密とは?|行くぜ、東北。
September 10, 2015 | Architecture, Travel | casabrutus.com | photo_Tetsuya Ito text_Naoko Aono
2001年に開館し、すっかり仙台の街並になじんだ〈せんだいメディアテーク〉。街の人に愛される透明な建築の秘密とは?
〈せんだいメディアテーク〉の「メディアテーク」とは、フランス語で「メディアを収める棚」を意味する。図書館、映像音響ライブラリー、ギャラリー、スタジオなど多彩な機能を収めた施設だ。
この〈せんだいメディアテーク〉のコンペで優勝した伊東豊雄の案は建築らしからぬ軽さ、透明さで人々を驚かせた。信じられないほど薄い床を、何本もの鉄骨が束ねられた13本のチューブが支える。しかもそのチューブは踊るように曲がっていて垂直なものはほとんどない。チューブの中は階段、エレベーター、空調や電気の配管などが入っている。屋上に採光装置で取り入れた太陽光もチューブを通じて建物内に入る仕組みだ。人もエネルギーもチューブを通って上下する、木の幹のような存在なのだ。
この〈せんだいメディアテーク〉のコンペで優勝した伊東豊雄の案は建築らしからぬ軽さ、透明さで人々を驚かせた。信じられないほど薄い床を、何本もの鉄骨が束ねられた13本のチューブが支える。しかもそのチューブは踊るように曲がっていて垂直なものはほとんどない。チューブの中は階段、エレベーター、空調や電気の配管などが入っている。屋上に採光装置で取り入れた太陽光もチューブを通じて建物内に入る仕組みだ。人もエネルギーもチューブを通って上下する、木の幹のような存在なのだ。
伊東は当初、このチューブを“水中をゆらめく海草”と表現していた。近代建築の基礎となる水平・垂直のグリッドから解放された、生命を感じさせる形態だ。が、そのチューブの施工は一筋縄ではいかなかった。鉄骨を一本ずつ溶接するのだが、鉄は溶接するとその熱で膨張し、ひずむ。ひずんだところに切り込みを入れ、再び熱して形を整える。暴れ回る鉄骨と立ち向かい、なんとか手なずける。今見ると軽やかなチューブは職人たちのそんな格闘の末に生まれたものなのだ。「鉄は生きている」、伊東はそんな職人の言葉が印象に残っているという。
透明な建物は、実際にはガラスで囲われているにもかかわらず、さまざまなものを通す膜のようだ。中に入るとチューブ越しに上下のフロアが見えるところもある。スタッフが働くエリアは壁ではなく、向こうが透けるオーガンジーの布で仕切られている。スタッフも来館者もお互いに動きを感じられるし、気軽に声をかけられる。異なる領域をつなぐ開放的な建築だ。
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