ARCHITECTURE
井上雄彦×鳥居徳敏「ガウディを語る」 | 前編
July 1, 2015 | Architecture, Art | casabrutus.com | photo_Tetsuya Ito text_Housekeeper
『特別展 ガウディ×井上雄彦」最後の巡回地〈せんだいメディアテーク〉にて、6月20日に漫画家・井上雄彦と本展監修者・鳥居徳敏教授(神奈川大学)の特別対談が開催。ガウディ建築から井上さんの創作にまつわる話まで、約1時間たっぷりと繰り広げられました。その模様をお届けいたします!
好きなガウディ建築 | ①
鳥居 ガウディといえば〈サグラダ・ファミリア〉、というのはみなさんご存じだと思うのですが、僕に言わせると、必ずしもガウディの代表作ではないんです。ガウディが死んでからも建設が継続されていて、人々はそこにロマンを感じるというのは、それはそれでひとつ筋道は通っているんですけども、建築家という目で見ますと、必ずしも代表作ではなくて。
鳥居 例えば〈カサ・ミラ〉ですね。一目見てこれが住宅だと思います? 昔から石切場というあだ名で言われたように、もう断崖絶壁が現れた感じなんですよね。こんなものが建築になってしまうという。ある意味、他では見られない。
鳥居 それから衝撃を受けたのが〈カサ・バトリョ〉。これなんかは建物の正面が波打っていて、そこにガラスの破片が張ってあるんです。朝日を受けますとガラスの破片に光が反射してチラチラするんですね。こんなこと建築が要求しますかって (笑) 。でも、ガウディはやっているということですね。
鳥居 それから〈コロニア・グエル〉。ここも世界遺産ですけど、本当に半地下しかできていない状況ですね。しかも実際に訪れてみるとわかるんですけど、やっぱりこの世には存在しないような建築なんですよね。こういった摩訶不思議な建築がどういった発想でつくられたか知りたいと思いますね。だから、僕は一生懸命本を読んだわけです。ただ、本には書いてなかったんですよ (笑) 。しょうがないから自分で考えざるをえなかった。それが僕のテーマとなって、長期間にわたって調べるということになったんですね。
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