山下めぐみのロンドン通信|槇文彦をロンドンで直撃。90歳の巨匠が次世代に伝えたいメッセージとは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

山下めぐみのロンドン通信|槇文彦をロンドンで直撃。90歳の巨匠が次世代に伝えたいメッセージとは?

GoogleやFacebookビルの建設も決まっている、ロンドンの大再開発地区キングスクロス。その真ん中にオープンしたのが、アガ・カーンを教主とするイスラム教イスマイリ派の教育文化施設〈アガ・カーン・センター〉だ。この建築を手掛けた槇文彦とプロジェクトを担当した亀本ゲイリーに、現地にて話を聞く機会を得た。

アガ・カーン・センター内の「ガーデン・オブ・ライト」を背景に、槇文彦(左)とプロジェクトを担当した亀本ゲイリー(右)。
9月の中頃、ロンドンでは毎年「オープンハウス」というイベントがある。通常は非公開の政府の建物やオフィス、建築家のスタジオから一般住居まで、2日間で800余りの物件が一般公開になるという人気の恒例行事だ。

折しも、この日はこの行事の只中で、6月にオープンしたばかりの〈アガ・カーン・センター〉の前にも長い行列ができている。館内ロビーで、この建物を設計した槇文彦とこの物件を担当した亀本ゲイリーが迎えてくれた。90歳というご高齢、日本からの長旅の直後にもかかわらず、時間を割いてくださった。

「アガ・カーン建築賞の審査員を勤めたのが、最初の出会いでした」。福祉や文化の支援者で、現代建築への理解も深いアガ・カーンとの出会いを、槇はそう振り返る。その縁で設計を依頼されたカナダの〈イズマイリ・イママット記念館〉(2008)、〈アガ・カーン・ミュージアム〉(2014)に次ぎ、今作は3作目となり、カーンと槇の深い信頼関係が感じられる。
アガ・カーン・センターの図書室にて。長旅の疲れも見せず語ってくれた槇文彦。
アガ・カーン・センターの図書室にて。長旅の疲れも見せず語ってくれた槇文彦。
「ヒズ・ハイネス(英女王から授与されたアガ・カーンの敬称)は、外観はモダニズムであなたの好きなようにおやりなさい、でも内観にはイスラムのアンビエンスが感じられるようにと。なので、とてもやりやすかったです」

10階建ての建物は白い石のファサードで覆われ、確かに槇建築に共通するモダニズム感。 中に入ると中央が大きく吹き抜かれ、天窓から光が差し込む開放的な空間だ。ガラスに転写されたイスラムのモチーフを透過して入る光が、表情豊かな陰影を映す出し。
美術大学、集合住宅、オフィスなどに囲まれた旧鉄道関係施設の再開発区にある。
中央が9フロア吹き抜かれたアトリウム。ロンドン在住のパキスタン出身アーティスト、ラシード・アライーンの作品が彩る。
イスラムのもモチーフがセラミック印刷されたガラスのファサード。美しい陰影が揺らめく。
アトリウムを囲むように並ぶセミナー室も、極めてオープンな空間に。
中央が9フロア吹き抜かれたアトリウム。ロンドン在住のパキスタン出身アーティスト、ラシード・アライーンの作品が彩る。
イスラムのもモチーフがセラミック印刷されたガラスのファサード。美しい陰影が揺らめく。
アトリウムを囲むように並ぶセミナー室も、極めてオープンな空間に。