ARCHITECTURE
「宇宙用住居」の設計が始まっています! デンマークの建築家チームによる、月面居住プロジェクトが公開。
December 23, 2021 | Architecture, Travel | casabrutus.com | text_Yumiko Urae
月面生活のための居住ハウス「LUNARK」プロジェクトを進めるデンマークの「SAGAスペース・アーキテクツ」。北極圏の北グリーンランドで100日間にわたって行われた実験の様子が、コペンハーゲンの〈デンマーク建築センター〉で2022年1月より展示されます。
地球以外の場所に居住地を構えることはできるのか? 空気、安定した温度、水、食料など地球上で最も基本的な要素がない月での暮らしには、設計段階から科学的に考慮する必要がなる。コペンハーゲンにオフィスを構える若手建築家ユニット〈SAGAスペース・アーキテクツ〉は、2018年から月面居住に向けてのプロジェクト「LUNARK」の開発に取り組んできた。宇宙飛行士ではなく、一般人でも住める家をデザインしたい。そんな願いが、「LUNARK」の出発点だ。
彼らは“建築とは何か”という前提をすべて無視し、白紙の状態からプロジェクトをスタート。独自の建築とデザインのアプローチを「テラ(地球)テック」と呼び、生物学、社会、そして文化といった人類の繁栄を目的に据えてきた。目指すところは文化的な価値を重んずる、未来の人々の幸福感やサステナビリティだという。最先端の技術はあくまでそのためのツールなのだ。
彼らは“建築とは何か”という前提をすべて無視し、白紙の状態からプロジェクトをスタート。独自の建築とデザインのアプローチを「テラ(地球)テック」と呼び、生物学、社会、そして文化といった人類の繁栄を目的に据えてきた。目指すところは文化的な価値を重んずる、未来の人々の幸福感やサステナビリティだという。最先端の技術はあくまでそのためのツールなのだ。
地球以外の惑星に建てる家はどんな方法で、どのような想像力が必要なのだろうか? 物理、生物、心理学などの専門家を招き、デザインとプラニング、プロトタイプの作成から実際に家を製作するまでの過程は記録された。
完成した「The Habitat」は、輸送用にコンパクト化できる折りたたみ式の住居となった。オリガミ式とよばれる外部シェルは硬いカーボンファイバーで作られており、実際に生活する際は最大750%まで膨らませることができる。さらに月では昼と夜が28日周期のため、体内時計の調整のために地球と同じ自然光の時間変化を再現するサーカディアン・ライトパネルも取り入れた。
完成した「The Habitat」は、輸送用にコンパクト化できる折りたたみ式の住居となった。オリガミ式とよばれる外部シェルは硬いカーボンファイバーで作られており、実際に生活する際は最大750%まで膨らませることができる。さらに月では昼と夜が28日周期のため、体内時計の調整のために地球と同じ自然光の時間変化を再現するサーカディアン・ライトパネルも取り入れた。
2020年9月〜11月の間、メンバーのセバスチャン・アリストテリスとカール=ヨハン・ソーレンセンはグリーンランドの北極圏にあるモリウサク近郊で、月面での居住生活を想定した生活を送った。地球で一番月に近い環境であり、ハリケーン級の強風、暴風雪、気温は零下30度まで下がる過酷なロケーションだ。1月28日より〈デンマーク建築センター〉で開催される展示『A Space Saga』では実験の一部始終を追うことができる。
2024年、人類は再び月に向かい、実際に住むことが想定されている。何百万年にも渡る進化の過程から生まれた、夢のある「LUNARK」。そのデザイン・アプローチは想像するだけでも、ワクワクする。
『A Space Saga』
〈デンマーク建築センター〉
Bryghuspladsen 10 1473 København K Danmark。1月28日〜5月8日。10時〜18時(木曜〜21時)。入場料115デンマーク・クローネ。