大海原に臨む哲学的空間までUSA代表を走らせた。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

大海原に臨む哲学的空間までUSA代表を走らせた。

空港のボーディングブリッジのようだが、実は鉄道駅舎の一部。見るからに気持ちよいカフェで太平洋の絶景を楽しむため、直線多く、道幅広い常磐道150kmをコルベットで往復してきた。

ちょっとした高台ゆえ地上でもこれだけ海が望めるのだから上のカフェに行ってみたくなるのは当然。
日本大震災直後の2011年4月に日立駅舎が竣工、〈シーバーズカフェ〉は約半年後にオープンしている。日立市出身の妹島和世がデザイン監修を務めた建築だ。そもそもは2005年に駅舎と周辺施設を新しくする計画が立ち上がり、実際に工事も着々と進んで3月末には完成を見こんでいた矢先の被災。だが翌月には開業できたのだから、復興のシンボルとしても良いタイミングだった。

常磐線の線路をまたぐ形でガラス張りの自由通路が駅の東西を結び、このカフェは東側つまり海側のいちばん端にある。言うまでもなく大海原の絶景を味わうお店だ。日本の海岸線の約半分は太平洋に面しているにしても、この海ほど、海以外何も見えない海というのも珍しいのではないか。島影、岬や半島、白砂のロングビーチ、取材に行った平日の昼下がりには船一艘、サーファーの一人さえ存在しなかった。ただただはるか彼方のゆるやかに湾曲する水平線だけ。誰もがたやすく哲学的・宗教的モードに入れます。
四連の排気管が実にいい感じ。オープンモデルとはリア形状が異なるクーペもカッコいいのだ。
メイド・インUSA車の代表といえばシボレー・コルベットだ。特大のボディとエンジン排気量を武器に荒々しく路上を席巻するイメージをずっと保ってきているので、こんな時代の日本にはあまり関係なさそうに見えるかもしれない。しかしクルマは乗ってみないとわからない、のこれも好例。件の「荒々しさ」をどう捉えるかは人によって違うが、ただひとつ強烈な印象をもたらすのは、ステアリングに伝わる感触の豊かさと細やかさである。低速から高速まで、直線でもカーブでも、それはまったく途切れることなく続く。

オーソドックスな大型FRスポーツカーでは、走っていくうちその大きさを感じさせなくなるのが名車とされるが、これは違う。難儀なほどの車幅感覚は、走っても大して変化しない。だが、そんなにデカいボディでも極上のステアリングフィールによって自在に操れることがわかってくる。それに伴って、このボディが非常に軽量に感じられるようになる。ブーツと思いきやスニーカーだった、みたいな。この快感たるや実に深く、アメリカのクルマづくりのセンスを改めて敬すことになった。
大きなボディに驚くほどタイトな運転席。こういうスポーツカーらしさは気分的に非常に重要なポイント。