Chill CARS|ガラパゴスな環境が生んだ、二度と現れないであろうクルマ。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

Chill CARS|ガラパゴスな環境が生んだ、二度と現れないであろうクルマ。

『カーサ ブルータス』2021年2月号より

1980年代頃まで、ソ連と東欧諸国のことを「東側」と称していた時代があった。自由競争がない社会主義国家が生み出す製品は、一度開発されると長期間にわたり作り続けられることが多かった。

シュコダ 120
クルマでも、数十年間モデルチェンジしなかった車種が存在する。西欧メーカーに比べて設計が遅れがちな東欧車の中でも、旧チェコスロバキアの自動車メーカー〈シュコダ〉は、西欧のメーカーに引けを取らない先進的なクルマを次々と開発していた。

同社が1976年から92年まで製造した《120》もその一台で、巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ率いるデザイン事務所〈イタルデザイン〉が手がけた明快でモダンなデザインは当時の最先端モード。一方で、設計は1970年に登場した古い車種を下敷きにしており、性能や操縦性は西欧車の水準に届いておらず、内装の質感など品質も決してよくなかったのも事実だった。それでも「東側」のクルマとしては圧倒的に新しく、西欧にも輸出されたほどである。

現在では、ベルリンの壁崩壊などにより東欧諸国の開放が進み、交流も行われているが、かつては東欧諸国の生活や文化・製品については断片的な情報が入るのみで、詳細はわからないことばかりだった。そんな「知られざる時代」に東欧の人々が乗っていたクルマからは、ガラパゴス化していた東側製品の独自性が溢れている。それが「西側」だった我々の、現在の視点からは新鮮に映る。
一般的なセダンではトランクルームとなる場所に、このクルマではエンジンが収まっている。
徹底してコストを抑えた結果、メーター類はミニマムで視認性が高く、スイッチ類もシンプルで使いやすい。
シートの生地は、傘で使われるような薄いビニール素材。
黒いプラスチック製のグリルに囲まれたヘッドライトが、小動物のような表情を見せる。

country: Czechoslovakia
year: 1976-92
seats: 5
size: L4,160×W1,595×H1,400mm
price: approx 1,800,000 yen

special thanks to Masayuki Shimoyama
※データと価格は撮影車両を参考に算出したものです。
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