Chill CARS|クルマに託した夢を想起させてくれる、小さなスポーツカー。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

Chill CARS|クルマに託した夢を想起させてくれる、小さなスポーツカー。

『カーサ ブルータス』2020年12月号より

自動車の歴史が始まって以来、人々はクルマにスピードを求めてきた。1960年代のイタリアでは、すでに最高時速が250km超という高級スポーツカーさえ現れている。

フィアット850スポルトクーペ
しかし、それらを手に入れることは一般的には困難だったため、排気量が1000㏄に満たない小型車を含め、世界中のメーカーによって安価なスポーツ仕様が用意され、若者を中心に高い人気を集めた。

そのひとつが、小型大衆車の《フィアット850》をベースに作られた《850スポルトクーペ》で、1968年に登場した。

広い室内を備え実用性を重視した標準の《850》と違い、《スポルトクーペ》は同時代の〈フェラーリ〉のモデルを縮小コピーしたようなスタイルに変更。スポーティなイメージを押し出していた。

〈フェラーリ〉よりも全長が1m近く短い小さなクルマだが、美しいカーブを描くルーフは、まさにスポーツカーのフォルム。さらに当時のスポーツカーで流行した、スパッと切り落としたようなテールデザインさえも持つ。量産大衆車をベースとしながらも、精いっぱいスポーツカーになろうとした、涙ぐましい努力の跡が微笑ましい。

クルマがまだ夢の乗り物だった時代、人々は遠く手が届かない高級モデルに想いを馳せ、コンパクトなスポーツカーに夢を託した。《850スポルトクーペ》は、現代では失われつつある “クルマに託した夢” を知るためのタイムマシンでもあるのだ。
グリルレスのパネルに設けられた丸い4灯ライトが、柔らかな表情を作る。控えめなV字形エンブレムも微笑ましい。
虫の目のような丸いメーター。
現代のクルマと大きく異なる、ヘッドレストのない小さなシート。
なだらかに落ちるルーフが、スポーツモデルであることを主張する。リア周りをメッキで囲むなど、ディテールも凝っている。

country: Italy
year: 1968-1973
seats: 4
size: L3,650×W1,500×H1,300mm
price: approx 2,000,000 yen

special thanks to Hayato Nieda
※データと価格は撮影車両を参考に算出したものです。
会員プログラム

登録者数12,000人突破!

建築家のアトリエ見学/名作家具プレゼント/限定メールマガジン…すべて無料。

建築家のアトリエ見学に、名作家具プレゼントも。

いますぐ登録!