ART
虎ノ門に現れたこの巨人は誰…?
December 16, 2014 | Art | a wall newspaper | photo_Yohei Inoue text_Naoko Aono editor_Yuka Uchida
膝を抱えて座る、文字でできた巨人。巨大なビルの脇に生まれたアートです。
虎ノ門ヒルズに出現した白い巨人。よく見ると体はすべて文字でできている。作者はアーティストのジャウメ・プレンサ。彼が込めた思いを聞いてみました。
Q 《ルーツ》という作品名にはどんな意味があるのですか?
僕が日本に対して抱いているイメージを表現しようと思った。日本は前衛と伝統とが緊張感を保ちながら共存していて、そこからクリエイティブで素晴らしいものが生まれている。伝統という根から幹が伸びて近代や前衛という枝へと変化していく様子を表している。
Q 文字を使っているのはなぜ?
僕にとってテキストはとても重要なものだ。僕の父はたくさんの本を持っていたからね。テキストをタトゥーのように肌に刻むことで、見ることのできない記憶を見えるようにしようと思った。文字は日本、中国、アラビア、ヘブライ、ラテン、ギリシャ、ヒンディー、ロシアの8種類。この8つで世界の言語の大半を表すことができる。つまりこれはグローバルコミュニティーのメタファーなんだ。
Q 色が白いのはなぜですか。
都市には完全に白いものはない。完全に黒いものもないけどね。東京のように密集した都市では白いものは空に浮いて見える。特に夜、ライトに照らされるとクリスタルのように透明に見えるんだ。
Q 膝を抱える姿勢をとっているのはどうしてですか。
この体勢や、膝をつくポーズはよく使っているものなんだけど、どれも目を閉じている。これは人の内面を見てほしいからだ。もちろん人間の外見や周囲の環境も美しいものだけれど、内面も素晴らしいものなんだよ、ということをわかってほしい。
Q 以前、瀬戸内海の男木島に作った《男木島の魂》は人々が休憩できるスペースでしたが、《ルーツ》も下に入ることができますね。
《男木島の魂》はみんなが集まれる屋根だけれど、《ルーツ》は貝殻か、偉大なる母のイメージだ。大きな建物の脇にあるこぢんまりしたスペースが来る人を愛して、守ってくれる。美術館ではよく「作品に手を触れないでください」って書いてあるけれど、僕はその注意書きには最後の部分が抜けていると思うんだ。「触らないで、抱きしめてください」というのが正しいと思う。触るだけでもいろいろなことがわかるけれど、抱きしめればもっとたくさんのことが伝わる。愛する人は触るものではなく、抱きしめるものだろう? アートもそれと同じなんだよ。
Q 《ルーツ》という作品名にはどんな意味があるのですか?
僕が日本に対して抱いているイメージを表現しようと思った。日本は前衛と伝統とが緊張感を保ちながら共存していて、そこからクリエイティブで素晴らしいものが生まれている。伝統という根から幹が伸びて近代や前衛という枝へと変化していく様子を表している。
Q 文字を使っているのはなぜ?
僕にとってテキストはとても重要なものだ。僕の父はたくさんの本を持っていたからね。テキストをタトゥーのように肌に刻むことで、見ることのできない記憶を見えるようにしようと思った。文字は日本、中国、アラビア、ヘブライ、ラテン、ギリシャ、ヒンディー、ロシアの8種類。この8つで世界の言語の大半を表すことができる。つまりこれはグローバルコミュニティーのメタファーなんだ。
Q 色が白いのはなぜですか。
都市には完全に白いものはない。完全に黒いものもないけどね。東京のように密集した都市では白いものは空に浮いて見える。特に夜、ライトに照らされるとクリスタルのように透明に見えるんだ。
Q 膝を抱える姿勢をとっているのはどうしてですか。
この体勢や、膝をつくポーズはよく使っているものなんだけど、どれも目を閉じている。これは人の内面を見てほしいからだ。もちろん人間の外見や周囲の環境も美しいものだけれど、内面も素晴らしいものなんだよ、ということをわかってほしい。
Q 以前、瀬戸内海の男木島に作った《男木島の魂》は人々が休憩できるスペースでしたが、《ルーツ》も下に入ることができますね。
《男木島の魂》はみんなが集まれる屋根だけれど、《ルーツ》は貝殻か、偉大なる母のイメージだ。大きな建物の脇にあるこぢんまりしたスペースが来る人を愛して、守ってくれる。美術館ではよく「作品に手を触れないでください」って書いてあるけれど、僕はその注意書きには最後の部分が抜けていると思うんだ。「触らないで、抱きしめてください」というのが正しいと思う。触るだけでもいろいろなことがわかるけれど、抱きしめればもっとたくさんのことが伝わる。愛する人は触るものではなく、抱きしめるものだろう? アートもそれと同じなんだよ。
Calgary, Canada 《WONDERLAND》2012
《ワンダーランド》2012年。カナダ・カルガリーにあるノーマン・フォスター設計の高層ビル近くに設置。
Ogijima, Japan 《OGIJIMA’S SOUL》2010
《男木島の魂》2010年。休憩もできる、海辺の巨大ゲートのような作品。
ジャウメ・プレンサ
1955年スペイン生まれ。鉄やガラスなどを素材に、アルファベットや世界の文字をモチーフにした独特の立体作品で知られる。トロント国際空港、BBC(ロンドン)など恒久設置作品も多数。