ARCHITECTURE
女性建築家らに贈られるジェーン・ドリュー賞、今年は妹島和世が受賞|山下めぐみのロンドン通信
March 14, 2023 | Architecture | casabrutus.com | text_Megumi Yamashita editor_Keiko Kusano
プリツカー賞から高松宮殿下記念世界文化賞まで、主要な建築賞はほぼ全制覇している妹島和世。そんな彼女にもう一つ、小さいながら重みのある「ジェーン・ドリュー賞」が贈られた。
「今日は雛祭り、女の子の祭りの日にこのような賞をもらえて嬉しいです」
3月3日、ロンドンの〈バタシー・アーツセンター〉。「Wアワード」の授賞式会場に妹島和世は現れた。「Wアワード」とはイギリスの建築雑誌が主催する女性及びノンバイナリーの建築関係者に贈られる5つの賞のことで、その一つの「ジェーン・ドリュー賞」が授与されるからだ。
この賞は、イギリスのモダニズムの基礎を作った女性建築家・ジェーン・ドリューを記念し、1998年に創設されたもので、毎年、傑出した女性建築家に贈られる。これまでザハ・ハディド(2012)、グラフィトン・アーキテクツのイボンヌ・ファレルとシェリー・マクナマラ(2015)、デニス・ブラウン・スコット(2017)らが受賞している。
2022年の受賞者はファシッド・ムサヴィで、彼女から妹島に表彰盾が渡された。
3月3日、ロンドンの〈バタシー・アーツセンター〉。「Wアワード」の授賞式会場に妹島和世は現れた。「Wアワード」とはイギリスの建築雑誌が主催する女性及びノンバイナリーの建築関係者に贈られる5つの賞のことで、その一つの「ジェーン・ドリュー賞」が授与されるからだ。
この賞は、イギリスのモダニズムの基礎を作った女性建築家・ジェーン・ドリューを記念し、1998年に創設されたもので、毎年、傑出した女性建築家に贈られる。これまでザハ・ハディド(2012)、グラフィトン・アーキテクツのイボンヌ・ファレルとシェリー・マクナマラ(2015)、デニス・ブラウン・スコット(2017)らが受賞している。
2022年の受賞者はファシッド・ムサヴィで、彼女から妹島に表彰盾が渡された。
ジェーン・ドリューについて解説したい。
ドリューは1911年生まれ。1929から34年にかけてロンドンのAAスクールで建築を学ぶ。先鋭的なAAスクールでも女学生の初入学は1917年のこと、イギリスの女性が普通参政権を得たのが1928年である。建築業界は当然男性一色だった。そんななか、ドリューは設計事務所を設立し、女性だけを雇用するなど、建築を目指す女性たちの先駆的存在になる。
ル・コルビュジエとの出会いから、夫となったマックスウェル・フライとともにイギリスのモダニズムの騎手として活動。インドのチャンディガールの都市計画をル・コルビュジエにつないだのもドリューだった。ガーナでも複数のプロジェクトを手掛け、「定型化された慣習を操作するのではなく、人間の活動のための空間を作る」として、モダニズム建築を世界に拡めた。引退後もレクチャーなどを続け、1996年、亡くなる数ヶ月前には「大英帝国勲章」を授与されている。
ドリューは1911年生まれ。1929から34年にかけてロンドンのAAスクールで建築を学ぶ。先鋭的なAAスクールでも女学生の初入学は1917年のこと、イギリスの女性が普通参政権を得たのが1928年である。建築業界は当然男性一色だった。そんななか、ドリューは設計事務所を設立し、女性だけを雇用するなど、建築を目指す女性たちの先駆的存在になる。
ル・コルビュジエとの出会いから、夫となったマックスウェル・フライとともにイギリスのモダニズムの騎手として活動。インドのチャンディガールの都市計画をル・コルビュジエにつないだのもドリューだった。ガーナでも複数のプロジェクトを手掛け、「定型化された慣習を操作するのではなく、人間の活動のための空間を作る」として、モダニズム建築を世界に拡めた。引退後もレクチャーなどを続け、1996年、亡くなる数ヶ月前には「大英帝国勲章」を授与されている。
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illustration Yoshifumi Takeda
山下めぐみ
やました めぐみ ロンドンをベースに各誌に寄稿。イギリスをはじめ、世界各地の建築やデザイン、都市開発にまつわるコンサルティング、建築を巡る旅を企画提案するArchitabi主宰。https://www.architabi.com
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