DESIGN
【今週の花と器】木瓜(ボケ)と〈オリジンメイド〉の《ソルトベース》|2月
February 1, 2023 | Design | casabrutus.com | photo_Kiyoe Ozawa text_Yoshikatsu Yamato styling_Yumi Nakata
2月1週目の担当は、祐天寺にある花屋〈チビ〉を営む芳賀規良さん。早春の頃、細く伸びた枝に花を咲かせるボケは、同じ時期の梅に比べて、地味な花ではあるものの、淡い紅色が空間に点を打ち、侘び寂びの心に気づかせてくれます。枝が隠れず、その流れがダイレクトに見せられる器に、剣山を活用して飾るときのコツ、そして、芳賀さんが考える「ほどよい作為」とは。
枝を隠さず見せることができるのは、平べったく、高さのない器だからこそですよね。ボケは、桜と同じように冬のあいだは葉が落ち、花が咲いた後、葉を出す落葉樹です。細い枝にぽつぽつと花が開き、空間に淡い紅色の点を打つ。この風情に「侘び寂び」を感じます。
さて、枝の流れを印象的に見せたかったので、活ける前に枝を一部切っています。上に伸びる枝と、左に伸びる枝でY字の形にしましたが、もともとは、もう一本、枝が伸びていました。しかし、3本だと流れが止まるように感じ、また、器に対して物理的に重かったので隙間をつくって軽くする必要もありました。
このようにアンバランスにしたことで、かちっと固定された印象というよりは、流れを感じるフォルムになります。ただし、平べったい器は、長さのある花や枝を安定させるのが難しい。今回は、枝を見せることを主眼に置いたので、全体が寝てしまうのは違うと思い、剣山を使っています。
花には、まず、自然が作り出した動きがありますよね。それを、そのまま活かす選択肢があります。一方で、手を加えて、その特徴をさらに引き出すこともできます。人の手を加えて植物の力強さを作るのが「盆栽」のような文化です。
連載を通じて、僕が手を加えた理由をどうにか言葉にするつもりですが、実際には、直感というか、感覚的な判断も多いですよ。みなさんも、こうやって枝にハサミを入れてみるとこういう印象になるなあ、という体感をすこしずつ重ねれば、どう手を加えると花と器がよりよくまとまるのか、自分なりにわかってくると思います。
さて、枝の流れを印象的に見せたかったので、活ける前に枝を一部切っています。上に伸びる枝と、左に伸びる枝でY字の形にしましたが、もともとは、もう一本、枝が伸びていました。しかし、3本だと流れが止まるように感じ、また、器に対して物理的に重かったので隙間をつくって軽くする必要もありました。
このようにアンバランスにしたことで、かちっと固定された印象というよりは、流れを感じるフォルムになります。ただし、平べったい器は、長さのある花や枝を安定させるのが難しい。今回は、枝を見せることを主眼に置いたので、全体が寝てしまうのは違うと思い、剣山を使っています。
花には、まず、自然が作り出した動きがありますよね。それを、そのまま活かす選択肢があります。一方で、手を加えて、その特徴をさらに引き出すこともできます。人の手を加えて植物の力強さを作るのが「盆栽」のような文化です。
連載を通じて、僕が手を加えた理由をどうにか言葉にするつもりですが、実際には、直感というか、感覚的な判断も多いですよ。みなさんも、こうやって枝にハサミを入れてみるとこういう印象になるなあ、という体感をすこしずつ重ねれば、どう手を加えると花と器がよりよくまとまるのか、自分なりにわかってくると思います。
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