ART
〈グッチ並木〉×四代田辺竹雲斎。 世界が見とれる竹のインスタレーションが完成!
May 23, 2022 | Art, Design, Fashion | casabrutus.com | photo_Kozo Takayama text_Masae Wako editor_Housekeeper, Keiko Kusano
オープン1周年を迎えた〈グッチ並木〉のラグジュアリーな空間に、日本の真竹と黒竹を編んだ巨大インスタレーションが出現した。その姿、天上へ昇るしなやかな龍のごとし。手がけたのは世界が憧れる竹工芸界のスター、四代田辺竹雲斎である。1週間かけて公開制作された作品と竹工芸の未来について、四代目本人に話を聞いた。
東京・銀座。道行く人が次々と足を止め、「わあ」「すごい!」と写真を撮っている。ショーウインドウの向こうには、巨大なしめ縄のようにうねる竹のオブジェ。「岡本太郎じゃないけど“なんだこれは!?”だよね。カッコいい!」なんて声も。その圧倒的な美しさから目が離せずに思わず店内へ足を踏み入れる。と、チューブ状に編まれた竹が螺旋階段の吹き抜けを、まるで生きもののように昇っている。なんだこれは!?
舞台は昨年オープンした〈グッチ並木〉。クリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレの世界観を体現する華やかな空間だ。1階と2階はショップ、3階はオーダーメイド用の完全予約制サロン〈Gucci Apartment〉。4階にはミシュラン3つ星シェフ、マッシモ・ボットゥーラとの協業によるレストラン〈グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ〉がある。
この1、2階をつなぐ螺旋階段と吹き抜けに、万人の目をくぎ付けにするアートを生み出したのが竹工芸家・四代田辺竹雲斎。大阪の堺で明治末期より襲名されてきた「田辺竹雲斎」の四代目で、その作品は〈ボストン美術館〉や〈大英博物館〉、〈ギメ美術館〉にも所蔵されている。伝統的な竹工芸の技術を用いたインスタレーションで、今、世界各国からのオファーが絶えないアーティストである。
舞台は昨年オープンした〈グッチ並木〉。クリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレの世界観を体現する華やかな空間だ。1階と2階はショップ、3階はオーダーメイド用の完全予約制サロン〈Gucci Apartment〉。4階にはミシュラン3つ星シェフ、マッシモ・ボットゥーラとの協業によるレストラン〈グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ〉がある。
この1、2階をつなぐ螺旋階段と吹き抜けに、万人の目をくぎ付けにするアートを生み出したのが竹工芸家・四代田辺竹雲斎。大阪の堺で明治末期より襲名されてきた「田辺竹雲斎」の四代目で、その作品は〈ボストン美術館〉や〈大英博物館〉、〈ギメ美術館〉にも所蔵されている。伝統的な竹工芸の技術を用いたインスタレーションで、今、世界各国からのオファーが絶えないアーティストである。
「伝統は、常に革新していかないと廃れてしまう」。きっぱりとそう話す四代目と〈グッチ〉によるコラボレーションのきっかけは2021年。ブランド創設100年を迎えた〈グッチ〉は、この年が創始120年となる〈田辺竹雲斎〉とタッグを組み、京都の町家でエキシビション『グッチ バンブーハウス』を開催した。そして2022年。両者の新たな出発となる101年目、121年目を記念して、このスペシャルな空間が生まれたのだ。
「昨年、東京で開催された〈グッチ〉のエキシビション『グッチ ガーデン アーキタイプ』展でアレッサンドロ・ミケーレの世界観を拝見して、衝撃を受けました。ブランドの歴史を大切にしながらも、とてつもない情熱と表現力とクリエイティビティをもって新しい創造に挑んでいる。刺激されると同時に、これも“伝統と革新”だと深く共感し、その共通哲学を表現できたらと思ったのです」
四代目が考案したのは、竹を編んだ3本の構造体が1階と2階を繋ぐダイナミックなアート。上へ上へと昇って天井で大きくひろがる造形は、未来への広がりをも感じさせる。さらに「螺旋階段の2階部分は二方の壁が鏡貼り。天へ昇る造形が鏡の中にも現れることで、世界が別の次元へも広がっていくイメージをつくれる気がしたんです。時代、国、人種、性別……いろんな違いを超えて“伝統と革新”が広がっていく。そんな想いを込めました」
「昨年、東京で開催された〈グッチ〉のエキシビション『グッチ ガーデン アーキタイプ』展でアレッサンドロ・ミケーレの世界観を拝見して、衝撃を受けました。ブランドの歴史を大切にしながらも、とてつもない情熱と表現力とクリエイティビティをもって新しい創造に挑んでいる。刺激されると同時に、これも“伝統と革新”だと深く共感し、その共通哲学を表現できたらと思ったのです」
四代目が考案したのは、竹を編んだ3本の構造体が1階と2階を繋ぐダイナミックなアート。上へ上へと昇って天井で大きくひろがる造形は、未来への広がりをも感じさせる。さらに「螺旋階段の2階部分は二方の壁が鏡貼り。天へ昇る造形が鏡の中にも現れることで、世界が別の次元へも広がっていくイメージをつくれる気がしたんです。時代、国、人種、性別……いろんな違いを超えて“伝統と革新”が広がっていく。そんな想いを込めました」
確かに! 竜巻のような竹を眺めながら階段を上るにつれ、周囲の鏡の中にも竹の姿が現れる。鏡の中へ吸い込まれていくようでもあり、違う世界へひらけていくようでもあり。
今回使われているのは、白竹と呼ばれる大分産の真竹と、高知産の黒竹。1階の床に近い部分は黒竹が多く、天井に近づくにつれて少しずつ白竹が多くなる。
「黒が伝統、白が未来を表しています。過去と現代が混ざり合って未来へと進化していくさまを表現できれば、と考えました」。さらに、インスタレーションを構成する3本の構造体は、それぞれが自然、アート、ファッションを表しているのだと四代目は言う。
「コロナ禍や戦争などの非常時、アートやファッションは置き去りにされがちです。けれども、人が人であるためには、日常の中にあるアートやファッションがとても大切。いつの時代も、文化や経済をつくっていくのは人の創造力です。アートやファッションが自然と絡み合ってよりよい未来をつくりうる。その未来は一つではなく、鏡に映るインスタレーションのように、いくつもの形で存在することを伝えたかったんです」
今回使われているのは、白竹と呼ばれる大分産の真竹と、高知産の黒竹。1階の床に近い部分は黒竹が多く、天井に近づくにつれて少しずつ白竹が多くなる。
「黒が伝統、白が未来を表しています。過去と現代が混ざり合って未来へと進化していくさまを表現できれば、と考えました」。さらに、インスタレーションを構成する3本の構造体は、それぞれが自然、アート、ファッションを表しているのだと四代目は言う。
「コロナ禍や戦争などの非常時、アートやファッションは置き去りにされがちです。けれども、人が人であるためには、日常の中にあるアートやファッションがとても大切。いつの時代も、文化や経済をつくっていくのは人の創造力です。アートやファッションが自然と絡み合ってよりよい未来をつくりうる。その未来は一つではなく、鏡に映るインスタレーションのように、いくつもの形で存在することを伝えたかったんです」
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