ARCHITECTURE
隈研吾が手がけた、日本酒〈IWA〉の酒蔵がついに完成。その全貌を独占レポート!
April 28, 2022 | Architecture, Design | casabrutus.com | photo_Masanori_Kaneshita text_Mariko Uramoto
シャンパーニュメゾン〈ドン ペリニヨン〉の5代目醸造最高責任者として活躍したリシャール・ジョフロワが手がける日本酒ブランド〈IWA〉の酒蔵が富山県白岩地方に誕生。建物の設計を担当したのは、建築家の隈研吾だ。土地選びから建物の設計までの話を聞いた。
“アッサンブラージュというシャンパーニュ造りの手法を使って、世界で愛される日本酒を造る”。リシャール・ジョフロワはその構想を思い立ち、日本全国を巡りパートナー探しを始めた。その時、相談したのがかねてより親交のあった建築家の隈研吾だ。隈は富山市で代々続く桝田酒造店の桝田隆一郎を紹介。「二人に同じようなエネルギーを感じたので引き合わせました」と振り返る。これが縁で、リシャールは富山で日本酒造りをするため〈IWA(イワ)〉を一から起ち上げた。
シャンパーニュでは、「集合させる、組み立てる」という意味の「アッサンブラージュ」という工程があり、数十種類ものベースワインを組み合わせて理想の味を構築する。その手法を用いて、複数の日本酒を掛け合わせることで深い味わいを生み出した日本酒は、日本アルプスの雪解け水と広大な稲田が広がる地、富山県立山町白岩に由来して〈IWA〉と命名。ブランドのスタート時は桝田酒造店の蔵で酒造りを行ってきたが、昨年、念願の〈IWA〉の酒蔵が完成。手がけたのはもちろん、隈研吾建築都市設計事務所だ。
酒蔵作りは土地探しからのスタートだったという。リシャールと隈は、富山県内の候補地をいくつも見て回った。ロケーション選びで重視したのは、自然を感じられる場所であること。最終的に選ばれたのは、水田に囲まれ、遠くには富山湾が眺められるのどかな土地だった。米と水、日本酒を構成するシンプルな素材を感じることができるこの場所をリシャールはひと目で気に入ったという。広大な敷地の中にポツンと建つ酒蔵は、まるで大きな一軒家のような一枚屋根の建物。
「酒蔵を作るにあたって、リシャールは“ワンチーム”の重要性と、“ひとつの屋根”との関連性を大事にしていました。富山に残る古い農家の建物からインスピレーションを得たようです。日本の伝統的な農家は一つ屋根の下、囲炉裏を囲み、人と家畜と農作物が共存している。〈IWA〉の醸造所も酒造りだけでなく、ゲストを迎え入れ、関係者が宿泊できるスペースも隣り合うようにしたい、と。さらに、リシャールが大事にしたのは、“Not too fancy”であること。日本の原風景が残る美しいこの土地で、奇抜なもの、目立つものは必要ない。建物の外観で特徴となる大きな屋根は、マーク・ニューソンがデザインを手がけたボトルの色と関連して見えるように深い茶色にしました」
そう話すのは、今回のプロジェクトを現地で率いた隈研吾建築都市設計事務所の堀木俊さん。〈IWA〉の象徴となった屋根のディテールは、隈自身も気に入っていると言う。「金属製ですが、葺きたての茅葺きのようにできあがりました」。
シャンパーニュでは、「集合させる、組み立てる」という意味の「アッサンブラージュ」という工程があり、数十種類ものベースワインを組み合わせて理想の味を構築する。その手法を用いて、複数の日本酒を掛け合わせることで深い味わいを生み出した日本酒は、日本アルプスの雪解け水と広大な稲田が広がる地、富山県立山町白岩に由来して〈IWA〉と命名。ブランドのスタート時は桝田酒造店の蔵で酒造りを行ってきたが、昨年、念願の〈IWA〉の酒蔵が完成。手がけたのはもちろん、隈研吾建築都市設計事務所だ。
酒蔵作りは土地探しからのスタートだったという。リシャールと隈は、富山県内の候補地をいくつも見て回った。ロケーション選びで重視したのは、自然を感じられる場所であること。最終的に選ばれたのは、水田に囲まれ、遠くには富山湾が眺められるのどかな土地だった。米と水、日本酒を構成するシンプルな素材を感じることができるこの場所をリシャールはひと目で気に入ったという。広大な敷地の中にポツンと建つ酒蔵は、まるで大きな一軒家のような一枚屋根の建物。
「酒蔵を作るにあたって、リシャールは“ワンチーム”の重要性と、“ひとつの屋根”との関連性を大事にしていました。富山に残る古い農家の建物からインスピレーションを得たようです。日本の伝統的な農家は一つ屋根の下、囲炉裏を囲み、人と家畜と農作物が共存している。〈IWA〉の醸造所も酒造りだけでなく、ゲストを迎え入れ、関係者が宿泊できるスペースも隣り合うようにしたい、と。さらに、リシャールが大事にしたのは、“Not too fancy”であること。日本の原風景が残る美しいこの土地で、奇抜なもの、目立つものは必要ない。建物の外観で特徴となる大きな屋根は、マーク・ニューソンがデザインを手がけたボトルの色と関連して見えるように深い茶色にしました」
そう話すのは、今回のプロジェクトを現地で率いた隈研吾建築都市設計事務所の堀木俊さん。〈IWA〉の象徴となった屋根のディテールは、隈自身も気に入っていると言う。「金属製ですが、葺きたての茅葺きのようにできあがりました」。
Loading...
Loading...