DESIGN
日光浴のように、色を浴びる。本人解説から読み解くSPREAD展覧会へ。
November 2, 2021 | Design, Art | casabrutus.com | photo_Ooki Jingu text_Akiko Miyaura editor_Keiko Kusano
東京・表参道にあるスパイラルの〈スパイラルガーデン〉にて、『SPREAD by SPREAD 明日は何色?』が11月7日まで開催中。「色は喜び」というコンセプトのもと、“色”を媒介にして制作された新作アートワークは、今を生きる人々の心を揺り動かしてくれるはず。〈SPREAD〉小林弘和さんの解説とともに、展覧会の模様をお届けします。
環境、生物、物、時間、歴史、色、文字――。あらゆる記憶を取り入れ、「SPREAD=広げる」を軸に活動してきた、山田春奈と小林弘和によるクリエティブ・ユニット〈SPREAD〉。中でも“カラーとコンセプト”を特徴とする、数々のグラフィックやプロダクトを多く生み出してきた。
彼らが展覧会の開催を決めたのは、「コロナ禍で、社会全体に重く暗い空気が漂っていた。自分たちで動かないと、この渦に巻き込まれてしまう」という焦燥だった。そして、2020年末に出会った活版印刷の光景に心を動かされたのが、直接的なきっかけになったという。
彼らが展覧会の開催を決めたのは、「コロナ禍で、社会全体に重く暗い空気が漂っていた。自分たちで動かないと、この渦に巻き込まれてしまう」という焦燥だった。そして、2020年末に出会った活版印刷の光景に心を動かされたのが、直接的なきっかけになったという。
ギャラリーのエントランスに展示されているのは、《Much Peace, Love and Joy》。色のグラデーションが美しい紙の破片が集積され、まるで生きているかのように存在している。この色のベースになっているのが、小林が過去に出会った印刷技術だ。
「パリで見た石版印刷は、僕がこれまで見た中で一番発色がよく、グッときた色。今も忘れられず、ずっと探し求めていたところ、今回、都内の活版印刷所が色の再現に協力してくれることになったんです。そもそも印刷技術は、早く、多く刷ることを目的として進化をしてきた。けれど、今回はひとつひとつ手作業で、すべて違った色を表現するという、ある種、進化と逆行する作業。でも、考えてみると人と違うことを認め共存しようという、今の世の中の流れと重なる気がするんです」
印刷所とともに1枚1枚違うグラデーションの紙を作って、手作業でちぎり、それを集積して石垣のように壁に設置。ひとつとして同じ色味、形はない。この作品を前にしたときに心が揺さぶられるのは、「頭で考えることとは別のところに、訴えかけてくるのが色。日光浴のように、“色を浴びる”ことで自然と感じられることがある」のだと小林。
「パリで見た石版印刷は、僕がこれまで見た中で一番発色がよく、グッときた色。今も忘れられず、ずっと探し求めていたところ、今回、都内の活版印刷所が色の再現に協力してくれることになったんです。そもそも印刷技術は、早く、多く刷ることを目的として進化をしてきた。けれど、今回はひとつひとつ手作業で、すべて違った色を表現するという、ある種、進化と逆行する作業。でも、考えてみると人と違うことを認め共存しようという、今の世の中の流れと重なる気がするんです」
印刷所とともに1枚1枚違うグラデーションの紙を作って、手作業でちぎり、それを集積して石垣のように壁に設置。ひとつとして同じ色味、形はない。この作品を前にしたときに心が揺さぶられるのは、「頭で考えることとは別のところに、訴えかけてくるのが色。日光浴のように、“色を浴びる”ことで自然と感じられることがある」のだと小林。
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