FOOD
小寺慶子のレストラン予報|都立大学〈笠井〉
『カーサ ブルータス』2020年3月号より
June 29, 2020 | Food | RESTAURANT FORECAST | photo_Yoichiro Kikuchi text_Keiko Kodera
イタリアン戦国時代の名将となるでしょう。
東京のイタリアンはいま、群雄割拠の時代を迎えている。都心に限らず、私鉄沿線に店を構えるシェフが増えたのも最近の傾向のひとつだが、昨年末、都立大学にオープンした〈笠井〉は、新たな “刺客” として注目すべき1軒だ。
店主の笠井篤さんは薪焼きの名手〈TACUBO〉の田窪大祐さんのもとでパスタ担当を任された後に独立。自身の店で供する9,000円のコースの2本柱は2皿登場するパスタ料理と炭火で焼き上げる肉だ。自慢は粉の配分に注力した “パスタ・フレスカ”。オレキエッテやトロフィエにはもち小麦を加えてもっちり歯切れよく仕上げるなど研究を重ねた手打ちパスタは日本人好みのコシがあり、ソースや具材との相性を熟慮した組み合わせが食べ手の気分を高める。手打ちではないが、五島の林鮮魚店から届くアオリイカと自家製カラスミのカッペリーニのようにどこか和を感じさせる軽やかさがコース全体に。旨みを凝縮させた肉焼き術も上々でイタリアン戦国時代をたくましく生き抜くポテンシャルを感じさせる。
店主の笠井篤さんは薪焼きの名手〈TACUBO〉の田窪大祐さんのもとでパスタ担当を任された後に独立。自身の店で供する9,000円のコースの2本柱は2皿登場するパスタ料理と炭火で焼き上げる肉だ。自慢は粉の配分に注力した “パスタ・フレスカ”。オレキエッテやトロフィエにはもち小麦を加えてもっちり歯切れよく仕上げるなど研究を重ねた手打ちパスタは日本人好みのコシがあり、ソースや具材との相性を熟慮した組み合わせが食べ手の気分を高める。手打ちではないが、五島の林鮮魚店から届くアオリイカと自家製カラスミのカッペリーニのようにどこか和を感じさせる軽やかさがコース全体に。旨みを凝縮させた肉焼き術も上々でイタリアン戦国時代をたくましく生き抜くポテンシャルを感じさせる。

小寺慶子
こでらけいこ 肉を糧に生きる肉食系ライター。痩せるというウワサの梅干しサワーダイエットを試みるも、飲みすぎによる塩分&アルコールの過剰摂取でむくみ(!?)中。