平野紗季子が企てたレーズンサンドイッチの全貌! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

平野紗季子が企てたレーズンサンドイッチの全貌!

『カーサ ブルータス』2018年6月号より

平野紗季子さんプロデュースのお菓子ブランドが誕生。味づくりに、パッケージに、込められた想いを探ります。

上(NO)RAISIN SANDWICH シリーズ第一弾は、サワーチェリーとクランベリーの「ベリーベリーチェリー」。チェリージャムのクリームに、キルシュとフランボワーズビネガーを効かせた春味。下(YES)RAISIN SANDWICH ブランドの定番。レーズンはラム酒とシェリービネガーでマリネ。香りの余韻と酸のフレッシュさが絶妙。生地は(YES)(NO)ともにナツメグを加えてほのかにスパイシーに。
食のフィールドで八面六臂の活躍を続けるフードエッセイストの平野紗季子さんが、お菓子のブランドをプロデュース。発端は「レーズンサンドイッチ」という食べ物に対するアンビヴァレンスにある、というのが実に平野さんらしくてユニークだ。

「無類の食いしん坊である私の唯一の天敵がレーズン。バタークリームを香ばしいサブレで挟んだあの魅惑的なお菓子を、黒き憎き粒のせいで食べられないなんて!」

もしもレーズン以外のものでバターサンド菓子が作れたら。切実な願いを叶えるべく、製造は平野さんが「天才パティシエ」と絶賛する代々木八幡〈パス〉の後藤裕一さんに依頼。さらに「お菓子づくりは包装まで」という考えの下、アートディレクターの田部井美奈さんがメンバーに加わった。ブランド名は〈(NO)RAISIN SANDWICH〉。定期的に、レーズンサンドイッチとレーズンを使わないバターサンドイッチ2種をセットで販売する予定だ。
左から田部井美奈さん、平野紗季子さん、後藤裕一さん。
後藤さんは「お菓子というより“デザート”のフレッシュさ、複雑さを追求した」と話す。「ドライフルーツは、通常、洋酒または洋酒とシロップで漬けるのですが、今回は酒とビネガーを使っています。洋酒の風味を前面に出さず、甘さをほどよく切りながら、ジューシーに仕上げました」

味の奥行きは求めても、素朴で懐かしい「レーズンサンド」の枠をはみ出さないことも重要だという。「ならばパッケージもパキッとしたものより、少し隙のある感じがいいかな」と、田部井さん。レーズンサンドモチーフのグラフィックをプリントした円形の掛け紙は、そんな想いから生まれた。ステッカーやリボンはフレーバーに合わせて変えていくのだそうだ。

このサンド菓子、考えたら無限のフォーマットで。季節やオケージョンでフレーバーは更新していく予定です。いつか色んな味が一堂に会する日を夢みてます(笑)。

(ノー)レーズンサンドイッチ

平野紗季子、後藤裕一、田部井美奈によるお菓子プロジェクト。2種のバターサンドクッキーを限定数発売予定。詳細はインスタグラム@noraisinsandwichでチェックを。第一弾は5月末発売予定。

田部井美奈 たべいみな 1977年生まれ。アートディレクター、グラフィックデザイナー。〈田部井美奈デザイン〉代表。広告、書籍などの分野で活躍。クリエイティブユニット〈kvina〉にも参加。

平野紗季子 ひらのさきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。雑誌やウェブサイトに寄稿しながら、講演やイベントのプロデュースなども手がける。『Hanako』『SPUR』ほか連載も多数。

後藤裕一 ごとうゆういち 1980年生まれ。パティシエ。フランスの3ツ星〈トロワグロ〉でシェフパティシエを務め帰国。2015年、料理人仲間と〈PATH〉を立ち上げる。近く自身の工房も開設予定。