FOOD
デザインのいいレストラン #1 〈YO〉が手掛ける豪スターシェフの新業態。
June 7, 2017 | Food, Design | casabrutus.com | photo_Satoshi Nagare text_Kei Sasaki editor_Ai Sakamoto
レストランは単に美食のみを求めて行くところではなくなったようです。最新のレストランが提供するのは、今まで味わったことのない空間体験。このコラムでは東京に次々と誕生している「デザインのいいレストラン」を厳選し、ご紹介していきます。初回は〈GINZA SIX〉にオープンした〈Salt grill & tapas bar by Luke Mangan〉をフィーチャー。内装は、インテリアデザインオフィス〈YO〉が手がけています。
4月20日、〈松坂屋銀座店〉の跡地にオープンした〈GINZA SIX〉。地上13階、地下6階の建物に241ブランドが集結する複合商業施設の開業は、間違いなく2017年を彩るビッグトピックスのひとつだろう。基本設計と外観デザインは建築家・谷口吉生、共用部のインテリアデザインはグエナエル・ニコラと、建築デザインも見どころ。実力店、話題店の新業態がひしめくレストランフロアでは、清野燿聖率いるインテリアデザインオフィス〈YO〉が手掛けた〈Salt grill & tapas bar by Luke Mangan〉が注目を集めている。
豪メルボルン出身のスターシェフ、ルーク・マンガンが手掛ける本格グリルとタパス料理の専門店。新丸ビル〈Salt by Luke Mangan〉がコンテンポラリーでガストロノミックなモダンオーストラリア料理を提供するのに対し、こちらは厳選素材のシンプルな料理が揃う。希少なオーストラリア産ビーフの豪快なグリルや自家製シャルキュトリーなどの肉料理、現地の最新グルメトレンドを反映させたフュージョンタパスがメニューに並ぶ。ワインのラインナップもオーストラリア産を筆頭に、フランス、イタリア、アメリカの銘醸品から日本ワインまで幅広く、多彩なペアリングが楽しめる。
豪メルボルン出身のスターシェフ、ルーク・マンガンが手掛ける本格グリルとタパス料理の専門店。新丸ビル〈Salt by Luke Mangan〉がコンテンポラリーでガストロノミックなモダンオーストラリア料理を提供するのに対し、こちらは厳選素材のシンプルな料理が揃う。希少なオーストラリア産ビーフの豪快なグリルや自家製シャルキュトリーなどの肉料理、現地の最新グルメトレンドを反映させたフュージョンタパスがメニューに並ぶ。ワインのラインナップもオーストラリア産を筆頭に、フランス、イタリア、アメリカの銘醸品から日本ワインまで幅広く、多彩なペアリングが楽しめる。
店内はバー、ラウンジ、レストランの3つのセクションから成る。エントランスを抜けてまず目に入るのはL字のバーカウンターと、ラウンジの入口でパーティションの役割も果たす390本収納のワインセラー。イギリスのアンティークブランド〈HALO〉のラウンジソファをはじめ、クラフトファーニチャーがゆったりと配されたラウンジは、重厚感あふれるテイストだ。ダイニングは最高で3.2mの天井高があり、鉄製の梁が渡る天井にはシーリングファンが配され、空間に動きをもたらす。窓際の席は銀座中央通りを見下ろす最高のロケーション。とりわけ夜は、ラグジュアリーな街並みが借景になる。
ブルックリンやポートランドのカルチャーから影響を受けたインダストリアルなデザインは昨今のレストランデザインのトレンドだが、「ラフ&タフなカジュアルテイストとは一線を画した」と話す〈YO〉の唐沢洋介。あえて古材は用いず、建材のエイジングも最小限にとどめ、バーカウンターのテーブルには大理石を、エントランスから連なるバーの壁にはグレーペンミラーを配し、エレガントなエッセンスをプラス。照明はダウンライトではなくあえてスポットライトを中心にしている。照度に加え、角度を変えることで空間に変化を与えるのが目的だ。
「ニューインダストリアル」とも呼べる空間でもっとも目を引くのが、ダイニングの壁一面を彩るアート作品。ぺインター、ミュージシャンをはじめさまざまなアーティストが所属し、日本とオーストラリアをつなぐ活動をする〈GardenGrove〉の高橋憲助が手掛けたペインティングは「牛、大地」がテーマ。力強いタッチで描かれる躍動感のある巨大なアートは、大地が育む力強い素材をそのまま味わい、プリミティブな喜びを喚起させる店の料理とも相乗する。
料理を味わうのみならず、空間ごと体験するのがレストランの醍醐味ならば、今、もっとも東京を感じられる場所の一つと言えるだろう。
「ニューインダストリアル」とも呼べる空間でもっとも目を引くのが、ダイニングの壁一面を彩るアート作品。ぺインター、ミュージシャンをはじめさまざまなアーティストが所属し、日本とオーストラリアをつなぐ活動をする〈GardenGrove〉の高橋憲助が手掛けたペインティングは「牛、大地」がテーマ。力強いタッチで描かれる躍動感のある巨大なアートは、大地が育む力強い素材をそのまま味わい、プリミティブな喜びを喚起させる店の料理とも相乗する。
料理を味わうのみならず、空間ごと体験するのがレストランの醍醐味ならば、今、もっとも東京を感じられる場所の一つと言えるだろう。
〈Salt grill & tapas bar by Luke Mangan(ソルト グリル アンド タパス バー バイ ルーク・マンガン)〉
東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX6F TEL 03 6264 5402。11時30分〜14時30分LO、17時30分〜22時LO。無休(施設の休館日を除く)。ランチコース2,500円〜、ディナーコース8,000円、14,000円。アラカルトあり。ワインはグラス1,000円〜、ボトル3,800円〜。公式サイト