おいしくて美しい“和菓子”10選・晩秋。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

おいしくて美しい“和菓子”10選・晩秋。

季節を映す上生菓子は、和菓子の中でもひときわ匠の仕事が光ります。東京の名店10軒から上生菓子を集め、晩秋の景色を表現しました。

・〈とらや〉遠紅葉、林檎形|抽象と具象、名店がみごとに表す秋の気配。

左・湿粉製「遠紅葉(とおもみじ)」1個454円(関東・近畿地方の生菓子取扱店限定)、販売期間:11月15日まで。右・羊羹製白餡入り「林檎形(りんごがた)」1個486円(関東・御殿場店・近畿地方の生菓子取扱店限定)、販売期間:11月16〜30日。
赤く色づいた果皮の瑞々しさに感嘆。生地は羊羹製、中にはなめらかな白餡が隠され、その味わいのバランスもみごと。
屋号の虎の字を4つの鐶(かん・箪笥などに付ける金属製の取っ手)が囲んだ「鐶虎(かんとら)」紋をデザインした包装紙。弁柄色の紋の上に高貴な色である紫の紐を重ね、縁起のいい松葉結びに。〈とらや 赤坂店〉東京都港区赤坂4-9-22 TEL 03 3408 2331。9時~19時(土日祝9時30分~18時)。毎月6日休(12月を除く)。東京23区内、京都市内など一部地域のみ、当日受け取りに限り発送可。
創業は室町時代後期、その名を全国に知らしめる老舗〈とらや〉。餡のおいしさが際立つ羊羹が店の代名詞だが、元禄から伝わる「菓子見本帳」などをもとに製作する「季節の生菓子」もまた、名店の揺るぎない仕事を感じさせるものだ。

霜月(11月)の始まりとともに登場する「遠紅葉(とおもみじ)」は、紅、白、黒を三段に重ね、はるかに臨む山々の紅葉を表現したもの。紅と白の部分は湿粉製(もち粉と上新粉を混ぜた餡をこし網で漉してそぼろ状にし、枠に入れて蒸上げたもの)であり、三段目の黒は羊羹製。こうした三段の意匠は生菓子における定番デザインの一つで、〈とらや〉では「段物」と呼び、春の「八重霞」など折々に登場する。ほろりと崩れる二段の湿粉と、三段目のみっしりとした羊羹の食感の妙。大正8(1919)年にその名が残る、紅葉の景色をグラデーションで表現した風情あるお菓子だ。

かたや11月の後半から登場する「林檎形」は、リンゴの愛らしさを忠実に模した一品。初登場は天保11(1840)年というのだから、江戸末期から受け継がれる描写力に驚かされる。丸みを帯びたフォルム、赤く色づいた果皮、そしてハサミで切り取った果梗(かこう)までも再現され、思わず本物と見まごうほど。抽象と具象、それぞれに〈とらや〉ならではの洗練が息づいている。

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